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冨安健洋の度重なる故障にアーセナルの評価は? 移籍するならセリエA復帰も新天地ブンデスリーガも悪くない (2ページ目)

  • 粕谷秀樹●取材・文 text by Kasuya Hideki

【過密日程によるダメージは甚大】

「試合後やトレーニング後のケアにも怠りはない」(アルテタ監督)

「毎日毎日、自分の身体を入念にチェックしている。とてもストイックで、若手のお手本になる男だ」(ウィリアン・サリバ)

「誰よりも真摯な姿勢でサッカーに向き合っている。なぜケガにつきまとわれるのか」(吉田麻也)

 これらの証言からもわかるように、冨安は遊び惚ける性格ではない。栄養面にも気を遣い、酒やジャンクフードにもほとんど手をつけないという。

 かつて、チェルシーのドクターを務めていたエヴァ・カルネイロは、ケガが多い選手の特徴として次の5点を挙げていた。

(1) 身体のバランスが悪い
(2) 筋力が不足している
(3) 身体の土台がもろい
(4) 筋肉・関節の可動域が狭い
(5) 身体の使い方に誤りがある

 冨安はどれかに当てはまるのだろうか。いや、何か弱点があったとしても、彼であれば適切に対応していたはずだ。サッカーに向き合う真摯な姿勢は、先述の証言でもよくわかる。

 やはり、プレミアリーグ特有の過密日程が災いしているのだろうか。

「ブンデスリーガは1週間もあれば、もとの体力に戻る。しかし、プレミアリーグは1週間どころか、10日過ぎても疲労から回復できない選手が大勢いる。過密日程はもちろん、半端ではないプレー強度によって選手が受けるダメージは甚大だ」

 リバプールのユルゲン・クロップ前監督がこぼしていた。過密日程で疲弊した肉体を、激しいプレーが侵食する。週2〜3試合のペースでスプリントを繰り返し、1試合の走行距離は多い選手で10キロを超える。尋常ではない負荷がかかる。

 絶対王者のマンチェスター・シティでさえ、ケヴィン・デ・ブライネ、カイル・ウォーカー、ルベン・ディアスなど、多くの主力が疲弊によってコンディションを崩した。

 対人、ポジショニング、フィードともに申し分なく、冨安は世界でもトップクラスのDFだ。両サイドバックとセンターバックをハイレベルでこなす多様性は、アルテタ監督の戦術セットアップに必要不可欠な要素である。

 彼が健康体を維持できれば、より柔軟なローテーションが可能になり、チーム全体もリフレッシュできる。オレクサンドル・ジンチェンコやリッカルド・カラフィオーリ、ユリエン・ティンバーは、冨安ほどの多様性を有していない。

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