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三笘薫の「縦抜け」が激減しているのはなぜか プレミアリーグ日本人対決は鎌田大地に軍配 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【ブライトンのサッカーは多彩だが...】

 ただし、この試合でも縦抜けはこのプレーが最初で最後だった。三笘がウインガーの象徴的なプレーにあたる縦抜けにトライする数は、ここにきて確実に減っている。その一方で、増えているのは右のアウトを使っての横パスだ。最深部を深くえぐらずに浅い位置から折り返すプレーである。受ける側がシュートに持ち込みやすいのは断然、マイナスの折り返しだ。

 相手のタイミングをずらし、縦抜けを敢行するためにはフェイントにキレがなければならない。プレーの難易度は高い。だが、それを決めればウイングとしての価値は大きく上がる。最近の三笘はそれができずにいる。ウイングとして決定的なプレーを発揮できずにいる。気持ちが守りに入っている印象だ。それがブライトンの攻撃に微妙な影響を及ぼしている。勢いを与えることができていないのだ。安定はしている。貢献度も高い。しかし、ここ数試合の三笘には真の怖さがない。

 鎌田は後半15分から、3-4-2-1のシャドーのポジションでプレーした。だが、ベンチからの指示なのだろう、構えたポジションは真ん中寄りではなく、サイドアタッカー然と左サイドに近い位置を取った。サイドアタッカーの数を1.5(ブライトン)対1(クリスタル・パレス)と先述したが、鎌田を開き気味に構えさせることで、サイドにおける数的不利を解消しようとした狙いを感じる。

 三笘と鎌田はこの時、ピッチの対角で構え合う感じになっていた。その影響だろうか。一方的だったブライトンのペースは徐々に鈍っていく。

 後半37分、クリスタル・パレスは、イスマイラ・サール(セネガル代表)のダメ押しゴールで3点目を挙げると、ブライトンの反撃を後半追加タイムに許した1点に抑え、1-3のスコアで勝利した。

 ブライトンは、3-1で勝ってもおかしくない試合を落とした格好だ。ハーツラー監督は前任のロベルト・デ・ゼルビのような一貫した哲学の持ち主ではない。守備的サッカーもすれば攻撃的サッカーもする。3バックにも幅がある。多彩と言えば多彩。テクニカルだ。サッカーをよく知っている監督に見える。だが、言い換えれば、それは器用貧乏にも見える。

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