【欧州CL】守田英正は見せ場を作れずも、スポルティングがマンチェスターCに大逆転勝利 (3ページ目)
対するスポルティングは5-2-3ながら、3FWは「1トップ、2シャドー」というより「1トップ、2ウイング」に近い並びだ。サイドアタッカーを両サイドに各ふたりずつを擁する5バック。前半の前半は、マイボールに転じると中盤ダイヤモンド型を敷くマンチェスター・シティの攻勢が目立ったが、ほどなくすると形勢に変化が起きた。
マンチェスター・シティがボールを失った時、右SBリコ・ルイスが戻りきれないので、その最終ラインの枚数は3となる。これに対し、1トップ両ウイングで構成されるスポルティングのアタッカーも3人だ。それぞれは1対1の関係にある。
なかでも注目すべきは中央のギェケレシュ対マヌエル・アカンジ(スイス代表)の関係だった。アカンジが悪かったと言うより、ギェケレシェがよかった。すると、その関係が心配になるのだろう、その両側に位置するシンプソン・ピュゼーとヨシュコ・グバルディオル(クロアチア代表)の間隔は狭まった。マンチェスター・シティは5バックにはならないので、左右には広大なスペースが生まれることになる。そこに綻びが出た。
マンチェスター・シティは後半、3点を献上。ハーランドのPK失敗なども手伝い、得点は開始直後、守田のミスで得たフォーデンのゴールだけに終わった。
守田は後半30分に、ダニエル・ブラガンサ(元U-21ポルトガル代表)と交代でピッチをあとにした。失点を献上したシーン以外はそつなくプレーしたが、CL第2節のPSV戦で披露したようなゲームメーカー然とした冴えたパスは拝めずじまい。目をひくプレーはなかった。採点をするならば6には届かず。大逆転勝利から、ひとり蚊帳の外という印象だった。
スポルティングのルベン・アモリム監督は、CLではこの試合を最後にチームを去り、マンチェスター・ユナイテッドの監督に就くことが決まっている。マンチェスター・シティに対する今回の勝利は、その挨拶代わりと言えそうである。
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著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。
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