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三笘薫のドリブルが敵に植えつける「やられた感」 逆転負けも前半はリバプールを圧倒 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【先制ゴールを生んだドリブル】

 そして迎えた15分、右ウイングのフェルディ・カドゥオール(トルコ代表)のからサイドチェンジ気味の横パスを受けると、三笘はドリブルを開始。縦を警戒したアレクサンダー・アーノルドは内側への警戒を怠っていた。その間隙を三笘のスライスのかかったアウトサイドパスが抜けていく。1トップ、ダニー・ウェルベック(元イングランド代表)がこのボールを外に逃がすと、そこに三笘にパスを出したカドゥオールが走り込み、左ポスト内側に、胸のすくような一撃を蹴り込んだ。

 ウェルベックのポストプレー、カドゥオールのクリーンシュートも見事だったが、三笘のドリブルには自軍を勇気づけ、相手には"やられた感"を植えつける効果がある。それはアウェーのスタンドの雰囲気に端的に表現されていた。

 前半20分には自軍の深い位置でボールを受けるとドリブルを開始。3タッチ目でマークに付こうとしたアレクサンダー・アーノルドの背後にボールを送り込むと、スピードで抜き去った。リバプールのペナルティエリアの角あたりまで、60~70メートル前進する圧倒的なプレーを見せた。ウェルベックに右足アウトで出したスルーパスはアレクシス・マック・アリスター(アルゼンチン代表)にカットされたが、ブライトンペースはこれでますます加速していくことになった。

 さらに21分、23分と冴えたドリブルを立て続けに披露。この時間帯の三笘は手がつけられない状態にあった。グリーンのピッチの上をスイスイと小気味よく滑らかに進む、胸の空くような、けれん味のない痛快なドリブルである。

 36分には決定的な折り返しを送った。自軍の深い位置からドリブルを開始。数十メートル進むと、いったんウェルベックにボールを預け、そのリターンを受けるや、逆サイドで構えるカドゥオールに向けて送り込んだ左足キックである。カドゥオールがこのシュートを的確に蹴り込んでいれば、勝利の女神はブライトンに微笑んでいたかもしれない。

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