久保建英はバルサのヤマルに次ぐ存在 ラ・リーガアタッカー陣のデータを比較してみた (2ページ目)

  • ロベルト・ラマホ●取材・文 text by Roberto Ramajo

【ラ・リーガで活躍する他のサイドアタッカー】

 私は常々、「久保は単なるウイングではない」と主張してきたし、実際に他とはひと味違うサイドアタッカーだと確信している。実力だけで言うなら、同じようなポジションでプレーするラミン・ヤマル(バルセロナ/4得点6アシスト)、ロドリゴ(レアル・マドリード/3得点1アシスト)、ニコ・ウィリアムズ(アスレティック・ビルバオ/1得点1アシスト)、ジェレミ・ピノ(ビジャレアル/0得点1アシスト)といった、疑いようのないポテンシャルや魔法を備え、チームにアシストとゴールをもたらしている選手たちと肩を並べている。

 さらに久保には彼らと違う価値もある。それはリーダーとしての能力があることだ。彼はラ・レアルで潜在的なリーダーとなっている。

 カリスマ性を備え、ロッカールームではチームを背負って立つ存在としてリスペクトされている。ピッチではボールを求め続けるだけでなく、チームメイトを励まし、指示を与え、流れを修正し、何かを求められれば耳を傾ける。そういった役割を果たしている点で他のウイングとは異なる。

 彼らは生粋のタレントであり、チームはその才能の恩恵を十分受けているため、通常であればそれ以上は求めていない。そして彼らも今以上の力を発揮し、過度に貢献しようとは思っていないはずだ。

 一方、久保はそうではない。途中出場から試合の流れを変える能力もさることながら、チームのために身を粉にする献身性や自己犠牲の精神がある。だからこそ後半からであっても集中した状態で試合に入り、多大な貢献ができるのだ。

 右サイドのアタッカーとしては、今季はとくにヤマルが目覚ましい活躍を見せている。左利きながら右サイドでプレーしている点、インサイドにも縦にも行ける点で、久保に最も近い特徴を持った選手だ。ふたりとも止めるのが非常に難しいダイアゴナルのドリブルを仕掛ける能力を備えている。どちらも球離れはあまり速くないが、球際で非常に俊敏で、連係能力にも優れている。

 スピードを長所とするロドリゴは、相手DFの背後のスペースにうまく入り込むウインガーだ。ボールをそこまで必要としないタイプなので、センターフォワードとして起用された時でも能力を発揮できる。久保はボールを持つプレースタイルで、ロドリゴとは異なっている。

 両サイドでハイレベルなプレーができるニコ・ウィリアムズは、ボールコントロールやアシストの能力で久保と似ているが、はるかにスピードがある。ニコがプレーを生み出すためにスペースを必要とする一方、久保には狭いゾーンでドリブルを仕掛ける力があり、そこまでスペースを必要としない。

 ジェレミ・ピノはより静的なサイドアタッカーで、インサイドへの走り込みやサイドバックをサポートするハードワークで際立っている。1対1も得意だが、久保ほどのクオリティーや魔法があるわけではない。

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