ミランの圧倒的スピードスター、ラファエル・レオン 「理不尽系」モンスターはどのようにプレーするのがベストか (2ページ目)
【最近のスピードスターの活かし方】
全盛期は理不尽なドリブラーでゴールゲッターだったクリスティアーノ・ロナウドは、左ウイングとしての守備を免除されていた。攻め残りさせてカウンターアタックを先導させたほうがチームに利益があるからだ。しかし、CR7がレアル・マドリードで無双していた時代とは違い、スピードスターでも現在はある程度の守備は要求される。
レオンも守備はするが、下がるのではなく前方へ出てプレスすることが多い。例えば、相手の右センターバック(CB)に向かって突っ込んでいき、そのまま前方へ残る。必要ならプレスバックもするが、最初から引いて守るよりも前残りできる守り方だ。
日本代表で三笘薫が左ウイングバックでプレーしている時、同様の前がかりの守備をしている。左シャドーの鎌田大地が相手のCBへプレス、外へ吐かせたパスに三笘がプレス、そして三笘の背後は3バック左の町田浩樹がカバーする。鎌田、三笘、町田が連動しながらの前進守備。三笘は守備でも下げるより前進させたほうがいいという考えだ。
ポルトガル代表ではレオンのいる左サイドは前進守備、右は引き込む守り方になっているのだが、レオンのプレスがあまりにも速くて連動が遅れそうになることがある。レオンが想定外に速く相手DFのところに到達するので、左サイドバックのヌーノ・メンデスがサイドの相手をつかまえる位置も異様に高くなる。このふたりのスピードにCBがついていけずに、ヌーノ・メンデスの後ろのスペースがやたら大きくなってしまうのだ。
そういうケースで、MFベルナルド・シウバがCBとメンデスの間を埋める動きをしていたのはさすがだが、思わぬ仕事が増えてしまったのはレオンが速すぎるせいである。相手に速くプレッシャーがかかるのはいいことではあるのだが、ついていく周囲はちょっと大変そうだった。
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