「レッドブル・アレーナ」 歴史ある街・ライプツィヒの新興クラブのホームスタジアム
欧州サッカースタジアムガイド2024-2025
第13回 レッドブル・アリーナ(Red Bull Arena)
ロンドンのウェンブリー・スタジアム、マンチェスターのオールド・トラッフォード、ミラノのジュゼッペ・メアッツァ、バルセロナのカンプ・ノウ、パリのスタッド・ドゥ・フランス......欧州にはサッカーの名勝負が繰り広げられたスタジアムが数多く存在する。それぞれのスタジアムは単に異なった形状をしているだけでなく、その街の人々が集まり形成された文化が色濃く反映されている。そんなスタジアムの歴史を紐解き、サッカー観戦のネタに、そして海外旅行の際にはぜひ足を運んでもらいたい。連載第13回目はレッドブル・アレーナ(ドイツ)。
今季のチャンピオンズリーグにも出場するRBライプツィヒの本拠地「レッドブル・アレーナ(ツェントラールシュタディオン)」 photo by ロイター/アフロこの記事に関連する写真を見る
2024年10月、オーストリアのエナジードリンクメーカーで世界的に有名な「レッドブル」が、「大宮アルディージャ」と「大宮アルディージャVENTUS」の運営会社の全株式を取得した。J3で戦っている大宮アルディージャは、レッドブルにとって日本初のプロサッカークラブで、世界では5番目のサッカークラブとなる。
レッドブルといえば、これまでオーストリア(ザルツブルク)とアメリカ(ニューヨーク)、ブラジル(ブラガンティーノ)でサッカークラブを運営し、ドイツの強豪クラブとして知られるのが4つ目となるブンデスリーガ1部で戦う「RBライプツィヒ」である。
本拠地ライプツィヒは、旧東ドイツ地域ではベルリンに次いで2番目の規模の都市で、ザクセン州では州都ドレスデンを上回る。中世から商業と金融の街として発展し、1409年に創立されたライプツィヒ大学はヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテやフリードリヒ・ニーチェといった哲学者、作家の森鴎外、ドイツのアンゲラ・メルケル元首相が在籍していた大学として名高い。
またヨハン・ゼバスティアン・バッハやフェリックス・メンデルスゾーンそしてリヒャルト・ワーグナーなど、ドイツを代表する音楽の街として名高く、ベルリンの壁崩壊、東西両ドイツの統一の端緒となった住民運動の発祥地としても有名だ。
その歴史ある街をホームとするライプツィヒは、2009年5月19日に創設され、7年間で4回の昇格を達成し、2016年にブンデスリーガ1部入りを果たした。すると1年目から躍進しUEFAチャンピオンズリーグの出場権を獲得。 2019―20シーズンはチャンピオンズリーグでクラブ史上初の準決勝進出を果たしている。
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著者プロフィール
斉藤健仁 (さいとう・けんじ)
スポーツライター。 1975年4月27日生まれ、千葉県柏市育ち。2000年からラグビーとサッカーを中心に取材・執筆。ラグビーW杯は2003年から5回連続取材中。主な著書に『ラグビー『観戦力』が高まる』『世界のサッカーエンブレム完全解読ブック』など多数。