元日本代表GK南雄太が「世界の超一流GK」を分析する ドイツ代表ノイアーの常識を超えたビッグセーブに衝撃 (2ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi

【GKの常識を覆したプレースタイル】

 特に印象的なのは、寄せてくる相手をキックフェイントで切り返して味方につなぐプレーです。周りもよく見えていて、あれだけ高い技術があるので、常に焦ることなく、余裕を持ってプレーできるのだと思います。

 とにかくノイアーは、アグレッシブなGKですね。ドイツが優勝した2014年ワールドカップの時、あれだけピッチで躍動できるGKはそれまで見たことがなかったので、僕自身もかなりの衝撃を受けたことを覚えています」

 GKの常識を覆したノイアーのプレースタイルについて聞いてみると、南氏はそのように説明してくれた。

南雄太氏はノイアーの細かな動きも説明してくれた photo by TOBI南雄太氏はノイアーの細かな動きも説明してくれた photo by TOBIこの記事に関連する写真を見る ただ、それ以上に南氏が強調したのは、ノイアーが持つGKとしての本質の部分。GK経験者ならではの視点による『ゴールを守る』プレーについてのすごみだった。

「ノイアーのプレーを見る場合、どうしてもプレー範囲の広さや足もとの技術に目を奪われがちですが、それ以前に、彼の『ゴールを防ぐ能力』が尋常ではないレベルにあるということを強調しておきたいですね。

 まず、ボールを弾くことと、キャッチすることの判断と、それぞれのプレーの正確性が抜群に優れていること。しかも腕力というか、体全体にパワーがあるので、自分の体よりも後ろの位置からでもシュートを弾き返すこともできます。

 また1対1の局面では、片足を内側に折りながら完璧な『面』を作って、シュートコースを最小限にできる。相手の体勢を見て、そのまま動かずにシュートを防ぐこともあれば、作った『面』をそのままに、シュート体勢に入った相手に寄せていくこともできる。細かい話になりますが、その距離の詰め方が抜群にうまいので、相手からすると、1対1の状況で劣勢を感じてしまうのではないでしょうか」

 普通なら決まっているはずのシュートも、ノイアーならゴールを幻と化すことができる。相手チームにとってはどれだけDFラインを崩しきっても、最後にノイアーという砦が待ち構えているので、ゴールを簡単に奪えない。

 南氏が指摘するように、相手にこれほど脅威を与えるGKはそういない。

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