パリオリンピック男女サッカー決勝の舞台「パルク・デ・プランス」名前の由来は王侯貴族の庭~欧州スタジアムガイド (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji

 1998年にスタッド・フランスができるまで、ル・パルクはサッカーとラグビーのフランス代表戦など数多くの国際試合が行なわれるフランスのスポーツシーンには欠かせないスタジアムだった。そして現在は、すっかり欧州の強豪のひとつとして定着したパリ・サンジェルマンのホームスタジアムとなっている。
 
 「PSG」という頭文字の愛称で親しまれている、パリ・サンジェルマンは1970年、首都パリに強豪クラブがなく、市民からの要望もあり、パリ出身の映画俳優ジャン=ポール・ベルモンドや、日本で通訳や解説者としても活躍したフローラン・ダバディ氏の祖父ピエール・エティエンヌ・グヨ氏などが出資し、創設。エンブレムやユニフォームの色は、現在まで一貫してパリの旗に由来する赤と紺だ。2011年からカタールの投資会社がオーナーとなり、世界的強豪の仲間入りを果たした。

 2012-13シーズンはスウェーデン代表ズラタン・イブラヒモヴィッチら大物を獲得し、19年ぶり3度目の国内優勝を果たした。19―20シーズンはフランス代表キリアン・エムバペを擁し、UEFAチャンピオンズリーグで準優勝。現在もリーグアン3連覇中だ。過去にもブラジル代表のネイマール、アルゼンチン代表のリオネル・メッシ、イングランド代表のデビッド・ベッカムなど、多くの世界的スターがPSGのユニフォームを身にまとい、このスタジアムで躍動してきた。

 PSGのナセル・アル=ヘライフィ現会長の時代になってから、スタジアムは幾度か改修が実施され、2016年のEUROや2019年の女子ワールドカップなど国際大会の試合が行なわれてきた。そして2024年のパリ五輪では、男女サッカーの決勝の2試合以外に、男女のグループステージも6試合、準々決勝2試合の計10試合が開催される。
 
 サッカー競技の男子の決勝は8月9日(金)、女子は10日(土)。「サムライブルー」と「なでしこジャパン」は、パルク・デ・プランスの舞台に立ち、メダイユドール (Medaille d'Or=金メダル)を獲得して、パリの地でその歴史に名前を刻むことができるか。

著者プロフィール

  • 斉藤健仁

    斉藤健仁 (さいとう・けんじ)

    スポーツライター。 1975年4月27日生まれ、千葉県柏市育ち。2000年からラグビーとサッカーを中心に取材・執筆。ラグビーW杯は2003年から5回連続取材中。主な著書に『ラグビー『観戦力』が高まる』『世界のサッカーエンブレム完全解読ブック』など多数。

【画像】識者が選んだパリ五輪サッカー日本代表18人フォーメーション

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