アルゼンチンの「黄金時代」はいつまで続くのか――コパ・アメリカ2024を制し「ビッグタイトル3連覇」を遂げた王者の強み (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 なかでも、アルゼンチンが選手層の厚さを見せつけたのが、コロンビアとの決勝だった。この試合、アルゼンチンは後半66分に大黒柱のリオネル・メッシを負傷で失うという事態に見舞われている。

 ところが、メッシに代わって投入されたニコラス・ゴンザレスはサイドでの突破に加え、ゴール前ではヘディングの強さを発揮。結果的に得点には結びつかなかったものの、メッシがいたときとはまた違う恐怖を、コロンビアに与えていた。

 加えて、延長に入って3人同時に投入された、レアンドロ・パレデス、ジオバニ・ロ・チェルソ、ラウタロのパスワークで決勝ゴールを奪ってみせた。メッシを欠いてからのアルゼンチンは、それまでとは異なる魅力を見せながら、決して力を落とすことはなかった。

 ラウタロのゴール直前、実はコロンビアにも同じようなシーン、すなわち、ともに交代出場だったホルヘ・カラスカルのワンタッチスルーパスを、ミゲル・ボルハが受けて抜け出すシーンがあった。

 だが、ボルハのシュートはリサンドロ・マルティネスにブロックされ、ゴールならず。交代出場の選手で作ったチャンスを、決めたアルゼンチンと、決められなかったコロンビア。その違いが、勝敗を分けたと言っても過言ではない。

 思えば、準決勝で対戦したカナダのジェシー・マーシュ監督は、アルゼンチンに敗れたあと、こんなことを話していた。

「アルゼンチンは大会を通して多くの選手をローテーションさせ、試合ごとに同じ選手を起用しないように、さまざまな選手をさまざまなタイミングで起用していたので、注意が必要だった。

 アルゼンチンは、おそらく7、8年一緒にプレーしてきているが、まだ(強化の)プロセスの始まりにいる我々は、チームに貢献できる選手をもっと育成する必要がある。そうすれば、(アルゼンチンのように)大会で選手をローテーションさせることができる」

 とはいえ、ビッグタイトル3連覇を果たしたアルゼンチンも、この大会を最後にアンヘル・ディ・マリアがチームを離れることになった。

「彼はこれまでも我々とすばらしい試合をしてきたが、今日は最高の試合のひとつだった」

 そう語るスカローニ監督は「まるで25歳のように足が動いていた」と、ディ・マリアを称えつつも、「彼を説得する方法はない」とも言い、その代表引退を残念がる。

 しかし、36歳の意志を尊重するのは、今なおチームは成長し続けているという手応えを感じているからこそ、なのだろう。

 ディ・マリアに続き、メッシが去る日も確実に近づいているアルゼンチンの黄金時代は、はたしていつまで続くのか。楽しみ半分、不安半分である。

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