久保建英の今季「通信簿」レアル・ソシエダ番記者の評価は「良」パリ五輪不参加にも言及 (3ページ目)

  • ウナイ・バルベルデ・リコン●取材・文 text by Unai Valverde Ricón

【決定力低下は精神面やチームの不調が影響】

 久保は後半戦に入ってから決定力に陰り見えたが、それは、大きな原因と考えられる肉体的疲労は別にして、相手の警戒心が強くなったからなど技術的な問題というよりも、久保自身の精神面やチームの不調が大きく影響したからだろう。

 高い技術力を備えた久保は、本調子ならどんなにきついマークを受けようとも突破することができる。そのため、対戦相手にはとっくに研究さていると思うが、それはあまり関係ない。今の状況から抜け出すために久保ができることは、肉体同様に疲弊しきった精神面を安定させ、前半戦で示したゴールへの感覚や自信を取り戻すことだ。

 久保は今シーズン、ハッピーエンドとはならず、最終的に重要な試合で度々控えとなり、さらには90分間ベンチを温めることもあった。

 ホームで行なわれたアトレティコ・マドリードとの今季最終戦は、もはや何のタイトルも懸かっていなかったため、チームにとってはシーズンを締めくくる"祝い"の試合となった。スタメンに復帰した久保にとっても、プレッシャーを感じずに、自分のプレーに輝きと喜びを取り戻す絶好の機会だった。

 チームは全般的に流れに乗れないまま0-2で敗れたが、緊張感を欠き、相手守備陣を崩してチャンスを作るのに苦しんだのだから、それは当然の結果と言えるだろう。そんな状況下にありながらも久保は、再び眩い光を放った。この日の彼は先発11人のなかで最も闘志溢れる選手だったように感じられた。

 久保は常にボールを要求し、相手に立ち向かい、右サイドで何度もサムエウ・リーノを圧倒した。決定機はほとんど作れなかったが、いい出来だった。さらにすばらしいドリブルを披露して強烈なシュートを放ち、ヤン・オブラクを脅かしていた。このプレーはこの日、出来のよくなかったチームにとって数少ないハイライトのひとつと言えるものだ。

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