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久保建英がバルサ戦で先発落ちした理由 価値の低下はないがノイズがあるのは確か (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【ほかの選手に比べて周辺が騒がしい】

 やはり、今年1月のアジアカップでの日本代表招集が暗い影を落としている。

 そもそも、森保ジャパン合流前の時点で筋肉系のケガをし、ギリギリの戦いをしていたはずだった。それがシーズン中にもかかわらずカタールで転戦を余儀なくされ、肉体が悲鳴を上げないはずはない。スペインに戻った直後は奮闘したが、そのツケを払っている。体は有限の資源のようなもので、度を越した場合、致命的なダメージが残る。

 そこでラ・レアルとしては、久保の力を最大限に引き出すための起用に切り替えた。端的にいえばスーパーサブというのか。バルサ戦で言えば、後半途中でシステムを通常の4-3-3に戻し、アンデル・バレネチェアやアルセン・ザハリャンも入れ、久保で最後の一発に懸ける。そうした戦略的な交代策だったはずだ。

 そのなかで、久保は冒頭に記したように際どいシュートを放った。サイドを駆け抜け、中盤から前にボールを運び、攻撃に活力を与えていた。マーカーだったカンセロの防御力を考えたら、"もう少しボールが回ってきたら"と思わせる瞬間もあった。

 だが、90分を通して躍動し、最後はとどめの一撃を突き刺したバルサの16歳、ラミン・ヤマルと同じポジションの"先輩"としては......。

 スペイン大手スポーツ紙『アス』『マルカ』も、久保には星ひとつ(0~3の4段階評価)だった。

「2試合連続の交代出場。1対1を求め、シュートにまで持ち込んだが、それだけだった」

『エル・ムンド・デポルティーボ』紙のそんな記述も、珍しく素っ気ない。

 久保の周辺は、他の選手と比べて騒がしい。日本代表招集だけでなく、パリ五輪招集までリクエストがあるという。さらに言えば、半分以上はゴシップだとはいえ、常に大型移籍の噂が絶えない。

「次はマドリードで活躍を」「遠藤航と組んでリバプールへ」「攻撃的なアーセナルも悪くない」......周りは言いたい放題だ。

 しかし、たとえクラブの主力であっても、試合から離れていれば、いないなりの戦いが定着し、居場所を失うこともある。久保の実力を考えたら、コンディションさえ戻ったら、すぐに形勢は逆転できる。しかし、ラ・リーガの上位クラブで主力を続けるのは簡単なことではない、という事実を忘れるべきではない。

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