久保建英はパリ五輪不参加が最良とスペイン人記者 レアル・マドリードは選手を出さないがラ・レアルは? (2ページ目)

  • ウナイ・バルベルデ・リコン●取材・文 text by Unai Valverde Ricón

【質の高い休みがほとんど取れない】

 最良の選択肢は、クラブと久保が揃って参加しないという決断を下すことだ。実際、今年1月に久保がクラブにとって重要な時期の数週間を欠場し、チームの成績だけでなく、その後数カ月間にわたって自身のパフォーマンスに大きな影響を及ぼしていた。

 ベストの状態にない今の久保が、ラ・レアルでプレシーズンに参加せずに多忙な夏を送った場合、新シーズンを最悪の形でスタートしかねない。もっと言えば、ラ・レアルで過ごしたこの2年間は、質の高い休みをほとんど取らずに終えることになる。

 久保が母国を代表してオリンピックで戦うのを楽しみにしているのは確かであり、出場すればラ・レアルの名前が日本で大きく響きわたることは間違いない。しかし、彼は日本代表としてアジアカップに参加する際、「母国を代表して戦うのは好きだけど、所属クラブをシーズン途中に抜けなきゃいけないのは残念」と、自身が抱えるジレンマについても発言していた。

 だが、パリ五輪はシーズンの途中で抜ける心配はない。加えて東京五輪で後悔を残した大会となれば、シーズンも終わりに近づく今、彼の気持ちは「参加」により大きく傾いてくるに違いない。

 ラ・レアルでは久保以外にも、今夏のオリンピック参加候補選手が何人もいる。来シーズンのラ・リーガ開幕を間近に控えた時期に、多くの選手が五輪参加で不在になることはチームにとって痛手となる。

 久保以外の主な候補者は、スペイン代表のMFベニャト・トゥリエンテス、FWアンデル・バレネチェア、DFジョン・パチェコの3人。前者は2002年、ほかのふたり2001年生まれだ。トゥリエンテスは現在、U-21スペイン代表の中心メンバーであり、ほかのふたりはその前の世代である。

 パリ五輪でスペインは、グループCでウズベキスタン、ドミニカ共和国、エジプトと対戦する。スペイン代表において3人とも重要な選手だが、ラ・レアルにとっても必要であるのは間違いなく、DF、MF、FWの3つの異なるラインの選手を開幕直前まで欠くことになる。

 ほかにもふたりの参加が考えられるが、実現される可能性が低いか、実現してもクラブにとってさほど重要でないかのどちらかだ。

 DFトラオレも32歳のベテランながら、オーバーエイジ枠でマリ代表に招集されるかもしれない。彼はフル代表のキャプテンであり、母国のアイドルだ。すでに今年初頭のアフリカ選手権にも出場している。参加した場合、日本と同組のため、久保との"ラ・レアルダービー"が実現する。その可能性は非常に低いが、もし出場すると、ラ・レアルにとって非常に大きな損失となるだろう。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る