パリ・サンジェルマン、一時代の終焉か スター頼みから脱却もCL決勝進出ならず (3ページ目)
【初優勝時を想起させるドルトムント】
一方、ドルトムントは優勝した1996-97シーズン、準優勝した2012-13シーズンに続く3度目のCL決勝進出だ。11シーズン前はバイエルンとのドイツ勢対決だったが、今回もその再戦となる可能性を50%前後、残している。決勝の舞台も11年前と同様、ウェンブリーという奇遇だ。
今季のブンデスリーガにおけるドルトムントの成績は現在5位。だが、そうは思えないサッカーをこの準決勝では披露した。直近の成績を見ても特段、好調とは思えぬ伏兵チームが、あれよ、あれよという間に決勝に進出したわけだ。サッカーは番狂わせが多いとされるが、こうした例は過去にけっして多くない。準決勝の初戦を2-2で引き分けているレアル・マドリード、バイエルンの勝者に対し、ドルトムントは無欲で決勝の90分1本勝負に臨むことになる。
想起するのは1996-97シーズンの決勝だ。前評判は、CLになって初の連覇を狙うユベントスのほうが圧倒的に高かった。舞台はミュンヘン五輪スタジアムで、スタンドの3分の1を埋めた地元のファンは、全員ユベントスを応援していた。そうした逆風が吹き荒れるなか、ドルトムントは3-1で勝利。初めて欧州一に輝いた。その再来なるか、である。チャンス到来である。レアル・マドリード、バイエルン、どちらと対戦しても好勝負になると見る。
ドイツ勢は今季好調で、ヨーロッパリーグでもレバークーゼンが準決勝の初戦でローマにアウェーで0-2と完勝している。現在4位のUEFAランキングをどこまで上げられるか。2位イタリア、3位スペインとの差はわずか。首位イングランドにも結果次第では肉迫できる。最終盤を迎えたいま、CLなどの出場枠などに大きな影響を与えるこのリーグランキングにも目を凝らしたい。
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著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。
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