パリ・サンジェルマン、一時代の終焉か スター頼みから脱却もCL決勝進出ならず (2ページ目)
【一方的なPSGペースの戦いだったが...】
すると、ドルトムントのエディン・テルジッチ監督は、たまらず5バックに変更。守り倒す作戦に出た。結果的にはこれが奏功したわけだが、PSGのチャンスは増えるばかりとなった。
後半41分にはゴール前でエムバペが放った枠内シュートは、GKグレゴール・コベル(スイス代表)に触れながらポストを叩く。その2分後にもMFビティーニャ(ポルトガル代表)のミドルシュートがバーを叩いた。残り数分という段階でも、合計スコアで1点差に詰めれば、同点の可能性はありそうな、それほど一方的なペースの戦いだった。
PSGの敗因を、運のなさ以外にあえて挙げるならば、1トップに起用したゴンサロ・ラモス(ポルトガル代表)が機能しなかったことにある。前線に右からデンベレ、エムバペ、ブラッドリー・バルコラ(U-21フランス代表)を並べた第1戦では、後半バルコラに代えて投入したランダル・コロ・ムアニ(フランス代表)がブレーキになったが、デンベレ、ラモス、エムバペに入れ替えて臨んだこの日は、ラモスに活躍の機会が訪れなかった。
ネイマール、リオネル・メッシを放出。今季、戦力ダウンが心配されるなかで監督の座に就いたルイス・エンリケは、見事にスーパースター頼みのサッカーから脱却。好チームに変身させた。CLベスト4は合格点と言えるが、エムバペが抜けるとされる来季は、今季以上に厳しい戦いになることが予想される。
中東の資本が入り、金満クラブと言われるようになって10数年。毎シーズンのように優勝候補に挙げられながら、あと一歩のところで欧州一の座を逃し続けてきたPSG。同類の金満チームであるチェルシーは2度、マンチェスター・シティも昨季、念願の初優勝を飾っている。歴史ある欧州サッカーにいずれも新風を巻き起こしてきた。PSGも欧州王者は時間の問題かと思われていた。
だが、無冠のままメッシ、ネイマールが抜け、来季はエムバペも抜けようとしている。仕切り直しが迫られている。来季も続投すると思われるルイス・エンリケは、どんなカラーのチームに再建していくのか。
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