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長谷部誠「ドイツ語だけで引退会見」の覚悟 セカンドキャリアは「ブンデスリーガ監督」への挑戦 (3ページ目)

  • 了戒美子●取材・文 text by Ryokai Yoshiko

【肉体的、精神的、思考力も衰えを自覚】

「長い間、引退の時については考えてきました。5〜6年前くらいから、ですかね、ずっと考え続けて、今が適切な時期だと思いました」

 長谷部をずっと見てきた側としては、30歳で迎えた2014年のブラジルワールドカップを終えたあと、そのタイミングはいつ来てもおかしくないと思っていた。

 だが、転機は2016年、ニコ・コヴァチのフランクフルト監督就任だった。長谷部をリベロに据え、チームは上昇気流に乗り、長谷部の評価も高まった。コヴァチの2シーズン目にはドイツカップで優勝。そして2018年のロシアワールドカップを機に、長谷部は日本代表を引退する決断を下した。

 2019年にコヴァチが解任された以降も、その次のアドルフ・ヒュッター監督もオリバー・グラスナー監督も開幕序盤は長谷部を先発から外したが、シーズンが進むにつれて彼に頼らざるを得なくなった。今季就任したディノ・トップメラー監督のもとでも同じくいつかチャンスは来るだろうし、そのチャンスを長谷部はまた生かすだろうと思っていた。だが、なかなか難しかった。

「先発から外れてもあんまり焦りとかはなくて、いい選手も揃っているから彼らに何かがあったら僕が出ていくよ、という気持ち」

 以前に長谷部はそう話していたが、出場機会が減っていたのも今季の現実だった。

「出場機会が少ないことも、引退の決め手のひとつです。今季は試合出場が少なくて、そうなると試合のたびにフィジカルコンディションを戻すのが難しい」

「肉体的にも、精神的にも、思考力も回復が遅くなっているのを感じる」

 引退の理由のひとつに、自身の衰えがあることは認めざるを得なかったようだ。

 会見では「引退を決めた正確なタイミングはわからないけど、4、5、6週間前くらいかな」とも話していた。2月のフライブルク戦で今季初めて先発したあと、かつてのようにレギュラーの座に着くかと思いきや再びベンチに戻ったことも、引退を決めたきっかけになったのだろう。

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