長谷部誠「ドイツ語だけで引退会見」の覚悟 セカンドキャリアは「ブンデスリーガ監督」への挑戦 (2ページ目)

  • 了戒美子●取材・文 text by Ryokai Yoshiko

【日本サッカーのために...という前提ではない】

「マルクス・クレッシェ(スポーツディレクター)らと話していて、詳細はまだ決まっていないけれど、アイントラハトに残る方向です。それはとてもうれしいこと」

「もう少し長くドイツに残ることになると思う。休暇で親の顔を見るために帰国することもあるけれど、ドイツでコーチングライセンスを取得したい」

 会見で長谷部は、今後のプランを明かした。それはブンデスリーガ監督への挑戦を公言したようなもので、しばらくの間はドイツで新たな道を歩むことになる。

 2022年にクラブと5年契約を結んだ際、長谷部のコメントが印象的だった。

「日本サッカーへの還元はあまり期待しないでほしい、というのが正直なところです。ただ、日本サッカー界のことを考えれば、たしかに時代の流れで選手がどんどん海外に出てきて、指導者もヨーロッパで指導できる人材が増えてくればいいかな、それも自然な流れかなと思います」

 すでにドイツで、コーチングライセンス講習を受けていることに触れながら話した。

 長谷部といえば「日本代表の主将」のイメージが強く、日本代表のことを第一に考えていてくれているに違いないという幻想を彼に押しつけていたことを、逆に気づかされたひと言だった。

 将来について、日本代表に関わるだけでなく、ドイツや欧州でキャリアを構築する権利があるのは当然だ。とはいえ、日本からの期待にも目配せを忘れなかった。

「最終的に日本サッカーのためになればうれしいですけど、日本サッカーのためにこっちで指導者をやろうという前提があるわけではないんです」とも話していた。

 今も気持ちは、その当時と変わらないだろう。今はまず、ドイツでの監督就任チャレンジに取り組む。

 先週末のシュツットガルト戦に出場した時点で40歳86日だった長谷部は、ブンデスリーガ最年長出場ランキング5位にその名を刻んだ。まぎれもなくフランクフルトを代表する現役選手ではあったが、引退しそうな雰囲気はかなり前からただよっていた。

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