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久保建英は今夏に移籍するのか 地元スペイン人記者「欧州サッカー界の貴族たちの目にはスター選手として映っていない」

  • ロベルト・ラマホ●取材・文 text by Roberto Ramajo

久保建英は2年間の契約延長をしたものの、ビッグクラブ移籍の話題があがり続けている。今回はスペイン紙『アス』およびラジオ局『カデナ・セル』でレアル・ソシエダの番記者を務めるロベルト・ラマホ氏に、久保の来季去就に関する意見を述べてもらった。

【今夏に去ることはない】

 久保建英はいつでも飛び立つ準備はできていたが、レアル・ソシエダに根を下ろすことを決意した。少なくとも今のところは。サン・セバスティアンでの生活のあらゆる面に満足している彼にとって、その環境をあえて変える理由が見当たらなかったのだろう。

久保建英はレアル・ソシエダと契約延長後もビッグクラブ移籍の話題が続いている photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA久保建英はレアル・ソシエダと契約延長後もビッグクラブ移籍の話題が続いている photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIAこの記事に関連する写真を見る ピッチでの成績は順調に伸びており、チームもシーズンの目標を達成している。ラ・レアル(レアル・ソシエダの愛称)に完璧に馴染み、家族もサン・セバスティアンの街で幸せに暮らしている。そう、すべてがうまくいっているのだ。

 この状況を考えると、なぜほかのクラブで再びゼロからスタートする必要があるだろうか?

 これまではシーズンが変わる毎に新天地でスタートしてきた久保だが、すでに2季目を過ごすラ・レアルで腰を据え、将来的なプロジェクトの柱のひとりとなり、2029年までの契約延長を受け入れた、と私は完全に理解している。このわずか1年半の間に、イマノル・アルグアシル監督率いるチームで最も重要な選手のひとりとなっているのだ。

 今でこそ皆簡単に口にしているが、久保がラ・レアルにやって来た時は、度重なるレンタル移籍を経験し、成績も振るわず、その移籍に疑問を持たれていた選手であった。

 当時は今のような卓越した選手とは程遠かったが、ラ・レアルで得た安定と信頼により、やっと成功を手に入れたのだ。ここで見つけたものを、今一度、ほかの場所で再び手に入れることが容易ではないと、彼は身をもって十分理解しているはずだ。たとえそこがはるかに資金力があり、さらなる成功を収める可能性を与えてくれるクラブであったとしても、だ。

 私が感じているのは、彼は自分のキャリアのなかで探し求めているステップには今なお到達しておらず、さらに優れた選手となるためにはラ・レアルからもっと多くのものを引き出せると信じている、ということだ。

 自分とクラブの未来を信じたからこそ契約延長を受け入れたのであり、今夏ここを去ることはないと私は信じている。彼のレベルが上がり続け、サッカー界の紛れもないスター選手のひとりになるまで、ここに留まるのがベストだと思う。彼にはそうなるための条件がすべて揃っている。

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著者プロフィール

  • 高橋智行

    高橋智行 (たかはし・ともゆき)

    茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、リーガ・エスパニョーラを中心としたメディアの仕事に携わっている。

【画像】レアル・ソシエダのフォーメーションほか、欧州サッカー注目クラブの今季最新布陣

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