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堂安律、EL16強進出を決める大逆転勝利に貢献 日本代表の時より弾けている

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

 チャンピオンズリーグ(CL)のグループリーグ3位チームとヨーロッパリーグ(EL)のグループリーグ2位チームが、ELのベスト16入りを懸けて対戦するプレーオフ。全8試合の結果から言うと、CL3位勢が3チーム、EL2位勢が5チーム勝ち残った。格下であるはずのEL2位勢の健闘が目立った。

 日本人が所属するクラブで勝ち上がったのは、フライブルク(堂安律)とスポルティング(守田英正)。ELのグループリーグで1位抜けしているリバプール(遠藤航)、ブライトン(三笘薫)とともに、決勝トーナメント1回戦に臨む。上田綺世所属のフェイエノールト(CL3位)は、ローマ(EL2位)相手に延長、PK戦に及んだものの、そこで運なく散った。

 ローマ対フェイエノールト戦。上田は、開始5分に先制弾を決めたエース、サンティアゴ・ヒメネス(メキシコ代表)と交代で後半33分からピッチに立った。1週間前に行われた初戦では先発出場。週末のオランダリーグRKC戦では後半頭から出場している。ここにきて出場時間は増加傾向にある。

 アルネ・スロット監督の期待値は少しずつ高まっている様子だ。いまが活躍時であることは確かだが、それに応える活躍ができているかと言えば、難しい問題だ。出場時間が限られているとはいえ、今季挙げたゴールがわずか1得点とは寂しい限りである。

 何よりボールに触る機会が少ない。ローマ戦でも、第1戦、第2戦ともに、出場時間の割にパスワークに絡めなかった。先述のように試合はヒメネスのゴールでフェイエノールトが先制。同点にしたホームのローマがその後、試合を優勢に進めたが、徐々にフェイエノールトに流れが移り、延長戦ではむしろ優勢に見えたほどだ。ストライカーにはストライカーらしい役割が求められていた。

 この大舞台で1本決めていれば、サッカー選手として一皮剥けていたはずである。ただ、そうはならなかった。それでも、初戦もそうだったが、上田はFKのチャンスを掴めばキッカーを任せられ、PK戦ではフェイエノールトの一番手として登場した。助走に細かいステップを交えながら左に決めたそのPK弾は、チームメイトやファンを安心させるプラスアルファの効果を秘めていた。

 すでに25歳ながら、フェイエノールトで大切に育ててもらっている。ローマ戦を見ての上田に対する率直な印象だ。

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著者プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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