上田綺世、守田英正、堂安律は階段を上るビッグチャンス ELプレーオフの見どころ (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【注目のローマ対フェイエノールト】

 ローマの監督といえば、計5シーズン監督の座に就き、0トップを発明するなど攻撃的サッカーの発展に寄与したルチアーノ・スパレッティ(現イタリア代表監督)の印象が強い。当時、若手だったデ・ロッシを積極的に使ったのもスパレッティだった。

 デ・ロッシ新監督率いるローマは、すでに4試合を消化。モウリーニョ路線か、スパレッティ路線かと言えば、スパレッティ路線のように見える。5バックになりやすいサッカーから、両ウイングを据えた4-3-3のオーソドックスな攻撃的サッカーに変化を遂げた。成績は4戦して3勝1敗。唯一の敗戦は直近のインテル戦(2-4)だが、昨季のCL準優勝チームで、今季もセリエAで首位を独走する強者インテルに対し、打ち合いを挑んだ末の惜しい敗戦だった。

 まさに好チームに変身を遂げている様子だ。しかし、対するフェイエノールトも好チーム度では負けていない。3位に終わったCLのグループリーグでも、アトレティコ・マドリード、ラツィオに少しも劣っていなかった。CLから脱落したチームのなかで、最もいいサッカーをしていたチームだと見る。

 現在セリエA8位のラツィオに競り負けたことで、ブックメーカー各社はこの対戦を同6位のローマ有利と見ているのだろう。だが、その差は僅かで、あってないようなもの。むしろフェイエノールトのほうがいいのではないかと筆者は予想する。

 何と言ってもデ・ロッシ監督はまだ40歳。大きなクラブの監督を務めるのはローマが初めてだ。もちろん欧州戦線の経験もない。ホーム&アウェー戦の一発勝負もこのフェイエノールト戦が初めてだ。経験不足が気になる。

 具体的な見どころは両軍のストライカーだ。ローマはロメル・ルカク。ベルギー代表のCFに対し、フェイエノールトはサンティアゴ・ヒメネス。上田が出場時間に恵まれない理由は、この22歳のメキシコ代表CFが偉大すぎることにある。

 身長は上田と同じ182センチながら、恰幅がよく存在感に溢れている。頭も強ければ、左右両足のシュートも鋭い。何と言ってもポストプレーがうまい。来シーズン、このチームに残っていない筆頭格の選手といっても過言ではない。ビッグクラブが放っておかないはずのストライカーの能力が炸裂すれば、逆転は大いにあり得る。つまり、試合展開にもよるが、上田の出場時間は長くないことが予想される。一発逆転の機会を上田は虎視眈々と狙うしかない。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る