バイエルンでもゴール量産 ハリー・ケインがいとも簡単に得点できる「傑出した能力」を風間八宏が発見&解説 (2ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi

【ボールを"受ける"技術が傑出している】

 バイエルン加入によって、改めて特別な選手であることが証明されたとする風間氏が具体的に挙げてくれたのが、ケインならではの特殊な能力だった。

「ひと言で言うと、ボールを受ける技術が傑出しているということです。

 私の定義では、ボールを"受ける"というのは、ボールと自分の間に相手を入れないということ。一方、相手を"外す"とは、相手の背中を取ったり、相手の逆を取って入れ替わったりする動きを言います。ただ、これらは手段であって、最終目的は自分がフリーでプレーすることなので、どちらもその点は共通しています。

 それを前提に説明すると、ケインはボールを"受ける"技術を高いレベルで兼ね備えている、ということです。つねにボールと自分の間に敵を入れないコース、受ける場所を見つけて、最高のタイミングでシュートを狙う。実は、その連続でゴールを決めています。

 ただし、相手よりも早くボールを受ける場所、つまりボールと自分を結ぶコースを見つけるのは、誰にでもできるわけではありません。実際、多くのストライカーは何度か動き直して相手の背後を取ってゴールを決めることのほうが多いんです。しかし、ケインのゴールは相手の前でシュートする場合が多い。普通に走り込んでゴールを決めているように見えるのは、そのためです。

 たとえば、以前バイエルンでゴールを量産したロベルト・レヴァンドフスキ(現バルセロナ)はケインとは違ったタイプのストライカーで、受けるよりも外す技術のほうが高く、相手の背後を取って決めるゴールが多かった。それで言うと、ケインのように受ける技術でフリーになるか、あるいはレヴァンドフスキのように外す技術でフリーになるか、という違いがあります」

 確かにケインのゴールシーンを見ていると、一見、いとも簡単に決めたように見えてしまうゴールは多い。風間氏が解説してくれたように、実はその背景にはケイン特有の"ボールを受ける"技術が存在していたというわけだ。

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