久保建英は「歴史的偉業」を達成できるか 地元スペイン人記者が現状を分析、CLラウンド16突破への期待を語った (3ページ目)

  • ウナイ・バルベルデ・リコン●取材・文 text by Unai Valverde Ricón

【ベスト8に進出すれば歴史的な偉業】

 ラ・レアルがPSGを破り準々決勝に進んだ場合、称賛に値する歴史的偉業となり、大きな挑戦として欧州中で語り継がれることになるだろう。しかしこれが同大会におけるクラブ史上最高の成績とはならない。

 なぜなら国内リーグ2連覇達成後の1982-83シーズン、クラブ史上最強と謳われたアルベルト・オルマエチェア監督率いるチームが準決勝進出を果たしたからだ。

 ラ・レアルはこの時、ヴィキングル、セルティック、スポルティングを退け、準決勝で強豪ハンブルクと対戦。ホームの第1戦を1-1で引き分けたあと、アウェーで第2戦を迎えた。

 後半に副審の1人が負傷したことで代わりを務めたドイツ人審判が、ハンブルクの2点目で4メートルも出ているオフサイドを見逃したのだ。これにより1-2の敗北を喫したことを、ラ・レアルサポーターは今でも忘れていない。

 ラ・レアルは12月12日のインテル戦で、どのようなシナリオが待っていようとも自分たちのやり方で主役となり歴史を作る、という確固たる意志を持ってジュゼッペ・メアッツァに乗り込んだ。そこがサッカーの殿堂であろうと、相手が歴史的なクラブであろうと、昨季のファイナリストであろうと、セリエA首位を走るチームだろうと関係なかった。

 イマノルはクラブ史上初のグループリーグ首位通過を目指し、いつもよりボールを支配し、少しでもリスクを減らすというプランを立て、それを実行するために全力を尽くした。

 先発で86分間出場した久保はインテルから特に警戒される選手となり、相手守備陣の注意を引き寄せることに成功する。フェデリコ・ディマルコが彼にうまく対処できず、カルロス・アウグストやヘンリク・ムヒタリアン、あるいはフランチェスコ・アチェルビのサポートを必要とした。

 その結果、ほかの選手たちがフリーになり、ラ・レアルはボールを長く保持できるようになったのだ。

 久保は現在ベストの状態にはなく、シーズン序盤のような輝きは失われ、ミスも増えている。それでも相手に脅威を与える存在であることに変わりはない。依然として攻撃を生み出し、チームに貢献し続けている。

 インテル戦でも重要なパスを3本出し、ドリブルを100%成功させた。ボールを17回ロストしたが、地上でのデュエル4回のうち3回に勝利した。

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