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三笘薫、遠藤航のプレーを解剖 ブライトン、リバプールの攻守のカラクリが見えてくる! (3ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji

◆リバプール(イングランド)

【パス精度の高いアレクサンダー=アーノルドを生かす戦術】

 ユルゲン・クロップ監督就任当初は「ゲーゲン・プレッシング」が看板だった。縦に速い攻め込みと、それに続くシームレスなハイプレスはポゼッション・スタイルの対極ととらえられていた。

 しかしそれは最初の数年で、現在のリバプールは後方からビルドアップするチームになっている。ハイプレスのための攻撃という本末転倒から、攻撃した結果のハイプレスという本筋に軌道修正した。

 ビルドアップのキーマンは右SBのトレント・アレクサンダー=アーノルド。中央へ移動してボランチ化する「偽SB」である。アンカーのアレクシス・マック・アリスターとともに組み立ての軸になる。

「偽SB」自体はもはや珍しくない。アーセナルのオレクサンドル・ジンチェンコがそうだし、マンチェスター・シティは「偽CB」までやっている。ポジショナルプレーの浸透とともに、こうした可変による「位置的優位」はほぼなくなっているので、偽化の狙いはほかにある。

 ボールが最も経由するボランチの場所に、チームで最もパスワークの技術の高い選手を配置することでビルドアップの質を担保するためだ。A・アーノルドは長短のパス精度が高く、その能力をより生かしていくための方策と考えられる。

 A・アーノルドが中央へ移動した時には、右インサイドハーフのドミニク・ソボスライが開いて幅をとる。A・アーノルドが外なら、ソボスライが少し下がってビルドアップの軸になる。A・アーノルドの偽化と連動するソボスライは、戦術的に重要な役割を果たしている。

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