久保建英や冨安健洋の試合観戦が楽しくなる レアル・ソシエダとアーセナルの戦術を分析 (4ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji

【冨安健洋は役割の異なる左右のSBをこなす】

 冨安は残念ながらケガにより現在離脱中となっているが、左右のSBをこなす貴重な人材として重宝されている。

 前記のとおりアーセナルは左右でSBの役割が異なっていて、とくにボランチ化する左が難しい。このジンチェンコ用の役割をこなせるのは冨安しかいない。ユリエン・ティンバーが長期離脱の負傷から回復すれば層は厚くなるが、今のところ冨安が左の二番手になっている。

 先発ポジションの確保ということなら、右SBが適任だろう。ジンチェンコに代わってビルドアップの軸になることもできているが、この能力ではジンチェンコには及ばない。一方、守備重視で攻撃参加もオーソドックスな右SBは問題なくこなせる。

 両足が使えてフィードもうまい冨安だが、右SBとしては無難なプレーに抑えてチームのリズムを壊さない配慮をしており、ホワイトと比べて遜色はない。レギュラーポジションを確保するなら右SBになるだろう。ただ、左の層が薄いために現状では左右のバックアップ的な位置づけになっている。

 冨安の資質から言えば、最適なのはCBと思われる。ただ、ガブリエウとサリバのコンビが鉄板化していて付け入る隙はなかなかない。しかし、どちらかが欠場すれば一番手に浮上する可能性が高く、CBとしてのビルドアップ能力ではむしろ冨安が上回っているので、そのまま定着もありうるだろう。
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プロフィール

  • 西部謙司

    西部謙司 (にしべ・けんじ)

    1962年、東京生まれ。サッカー専門誌「ストライカー」の編集記者を経て2002年からフリーランスに。「戦術リストランテ」「Jリーグ新戦術レポート」などシリーズ化している著作のほか、「サッカー 止める蹴る解剖図鑑」(風間八宏著)などの構成も手掛ける。ジェフユナイテッド千葉を追った「犬の生活」、「Jリーグ戦術ラボ」のWEB連載を継続中。

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