三笘薫、同僚3人負傷「いつケガするかもわかんない状態」日本代表の活動は転換期か (2ページ目)
【W杯予選の移動による疲労と時差ボケが選手の敵】
三笘は10月の日本代表の活動を体調不良でキャンセルした。それでもブライトンではフル出場5試合、11月に入ってもこのアヤックス戦を含めて2試合フル出場している。
強度も高く、移動の疲れもあるなかで、この試合数。もちろん三笘よりも多い試合数をこなしている日本代表メンバーもいるが、それでも苦しい状況は想像に難くない。
ただ、単純な疲れが溜まっているかというと、そういうわけでもないとも言う。
「疲れっていうか、毎試合100パーセントでうまく調整できているっていうわけではないですけど、70パー、80パーでしっかりと作れてはいますね」
完璧な状態まで高めることはできていないが、及第点は出ている──という認識だろうか。
「僕も100(パーセントのパフォーマンスを)出そうとはしていますけど、ピッチに入ったら意外と動かなかったりするってだけ。それは"あるある"のことなので。まぁ、そのなかでどれだけいいプレーができるか、だと思います」
あるある、とは言うものの、やはり簡単ではなさそうだ。
過密日程をこなしたうえで、週明けには日本代表の活動が始まる。
今回11月に行なわれるのはワールドカップ・アジア2次予選。大阪でミャンマー代表と戦い、そのあとサウジアラビアのジェッダに移動してシリア代表と戦う。
対戦相手そのものよりも、移動による疲労と時差ボケが選手の敵となる。
「負けられない試合なので。全員で力を合わせて勝つことが大事かなと思います」
全員の力で、という言葉は綺麗事でもなんでもない。少しずつ負担を分担しあうという意味で、全員で力を合わせることは、思いのほか重要なことになる。
今の代表選手たちは、以前の世代に比べて、連戦の疲労や代表活動のリスクを臆せず口にするようになった。レベルの高いクラブに所属する選手であればあるほど、試合数は増え、ケガのリスクも増える。
ワールドカップで結果を出すことを求めて多くの代表マッチを重ねても、その前に負傷者が続出しては元も子もない。簡単に解決法が出るわけでもないが、有識者や関係者たちはこの状況に頭を悩ませているだろう。
日本代表における欧州組の割合が過去最高になっている今、この日の三笘を見て招集を含めた活動方針はなんらかの転換点を迎えていると、あらためて考えさせられた。
著者プロフィール
了戒美子 (りょうかい・よしこ)
1975年生まれ、埼玉県出身。2001年サッカー取材を開始し、サッカーW杯は南アフリカ大会から、夏季五輪は北京大会から現地取材。現在はドイツを拠点に、日本人選手を中心に欧州サッカーを取材中。著書『内田篤人 悲痛と希望の3144日』(講談社)。
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