旗手怜央が言語化する「試合勘」の正体「亨梧くんの動きが全く見えていなかった」 (3ページ目)

  • text by Harada Daisuke

【改めて思い出した反骨精神】

 続くラツィオとのCLグループステージ第2節もセルティックは1-2で敗戦した。1-1で迎えたアディショナルタイムに、逆転ゴールを決められた結果は、チームとしての底力の差を痛感した。

 自分自身は試合を重ねてきたことで、前述した試合勘やゲーム感覚を取り戻せてきた手応えはあったが、先制ゴールをマークした亨梧くんと、数字という結果を残すことができなかった自分に差を感じざるを得なかった。そこにFWとMFという違いがあったとしても......。

 また、ラツィオ戦のあと、ロジャーズ監督から叱咤激励された。

「全然、戦っていなかったじゃないか。もっと、レオは高い強度を見せられるはずだ。強度が上がってくれば、守備だけでなく、自ずと攻撃にもその強さは発揮できるようになる」

 厳しくも愛のある指摘に、10月7日のキルマーノック戦はベンチスタートになることも覚悟した。しかし、ロジャーズ監督は先発で起用してくれた。

「先発起用してくれた期待に応えたい」

 同時に、こうも思っていた。

「プレーで見返して、自分の存在価値を示してやる」

 22分、ペナルティーエリアの手前でパスを受けた僕は前を向くと、監督が求めていた「強度」でボールを刈り取りに来た相手DFをかいくぐり、ドリブルすると右足を振り抜いた。

 その試合で1得点1アシストという結果を残した自分は、マン・オブ・ザ・マッチにも選ばれた。

 改めて思い出したのは、反骨精神こそが、自分を突き動かす原動力になっていることだった。逆境に立たされた時や、自分を奮い立たせた時ほど、力を発揮する。

 キルマーノック戦を終えた時、次は求められているこのプレーを、CLの舞台で示すと、誓った。

旗手怜央 
はたて・れお/1997年11月21日生まれ。三重県鈴鹿市出身。静岡学園高校、順天堂大学を経て、2020年に川崎フロンターレ入り。FWから中盤、サイドバックも務めるなど幅広い活躍でチームのリーグ2連覇に貢献。2021年シーズンはJリーグベストイレブンに選ばれた。またU-24日本代表として東京オリンピックにも出場。2022年3月のカタールW杯アジア最終予選ベトナム戦で、A代表デビューも果たした。2022年1月より、活躍の場をスコットランドのセルティックに移して奮闘中。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る