三笘薫、リバプール戦もフル出場 過密日程でも「代えられない」理由 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by PA Images/AFLO

【あわやPKゲットのシーンも】

 パッとしないリバプールが、らしさを発揮したのは前半40分。ダンクが中盤に預けるパスをマック・アリスターがカットするやドミニク・ソボスライ(ハンガリー代表)、ルイス・ディアス(コロンビア代表)、ダルウィン・ヌネス(ウルグアイ代表)とつなぎ、最後はモハメド・サラー(エジプト代表)が流し込んだ。ミス絡みとはいえ、高級なパス回しだった。

 リバプールの逆転弾はその4分後。今度はブライトンのGKバルト・フェルブルッヘン(元オランダU-18代表)がパスカル・グロス(ドイツ代表)につけたフィードを、ソボスライがカット。ここでグロスが反則を犯し、PKを献上したのだった。

 2失点はいずれもミス絡み。ビルドアップのパスを引っかけられたものだった。だが、ブライトンの指揮官、ロベルト・デ・ゼルビがそのスタイルを変えることはない。危なくなると5バックに切り替える日本人監督にはない魅力だ。

 それはともかく、三笘がこの日、その魅力を最も発揮したのは後半25分になってからだった。左ライン際でマーチのパスを受け、ドリブルで侵入。ジョアン・ペドロ(ブラジルU-23代表)が絡んだボールが目の前に戻ってくると、三笘は再びドリブル。次の瞬間、シュートを放つとボールはファン・ダイクの手に確かに当たった。PKか。ハンドだとアピールする三笘。だが不思議にも、このプレーはVARにさえならなかった。

 ブライトンに同点弾が生まれたのはその8分後。マーチが蹴った低いFKをダンクが合わせ2-2とした。そして試合はそのまま終了。先述のとおり、三笘は終了の笛が鳴り響くまでピッチに立ち続けた。尻上がりによくなるプレーを見せられると、フルタイム出場は正解と言わざるを得なかった。

 この試合に限った話ではない。前戦のマルセイユ戦もそうだったように、三笘はむしろ後半にいいプレーをする。ペース配分がうまいというか、飛ばしすぎて潰れることはない。最後まで失速しないマラソンランナーを彷彿とさせる。

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