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久保建英、今季4得点目で現地紙も「勢いが止まらない」 終盤には「魔法」のプレーも見せた (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

【光るブライス・メンデスとのコンビ】

 この直後にも、久保は左サイドに回り、ギャップでボールを受けると、振り向きざまにモハメド・アリ・チョに左足で出し、折り返しでネットを揺らした。オフサイドの判定だったが、瞠目(どうもく)に値するプレーだった。散歩でもするようにゆったりとした動きで、わずかにタイミングをずらし、滑りすぎない回転をかけたボールは、インスピレーションが横溢(おういつ)していた。

 それは、引退したダビド・シルバのプレーを彷彿とさせる、パウサ(休止)を使った"魔法"だった。少しも力みはいらない。背番号14はダビド・シルバの影まで纏おうとしているのか。

 試合はこの後、ヘタフェが1点を返し、スペクタクルな展開で幕を閉じた。久保の八面六臂の活躍で、ラ・レアルは勝利を収めた。とりわけ、ゲームMVPに選ばれたブライスとのコンビは光った。ふたりの関係をどこまで広げていけるか。それがラ・レアルの命運の鍵を握るのだろう。

 この日の久保は、苦慮しながらも、サディク、チョなどの力を引き出そうと、盛んに声をかけていた。今後は総力戦になることを承知しているのだろう。勝利を求めるリーダーとして、誰も置き去りにできない。

 次節は敵地でバレンシア、続いては本拠地でアスレティック・ビルバオとのバスクダービーが控える。地元では、ビルバオ戦はレアル・マドリード戦、インテル戦よりも注目度は高い(実際に観客数も最多を記録している)。その勝負はシーズン全体の布石になる。

 開幕以来、凄まじい勢いで駆け上がる久保が新たなフェーズへと挑む。

久保建英や鎌田大地、三笘薫など日本人選手の活躍にも期待!
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著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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