第二次森保ジャパンの有望株・中村敬斗が示したオーストリアからの出世街道 これに続く選手はいるか? (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 オーストリア2部で現在(第7節終了時点)、首位と勝ち点差3の2位につけるザンクト・ペルテンが目指すのは、言うまでもなく1部昇格。二田自身も来季は1部でプレーし、それを足がかりにさらなるステップアップにつなげるつもりだ。

オーストリアのザンクト・ペルテンに所属する二田理央(右から2番目)とクラブの日本人スタッフ。photo by Asada Masakiオーストリアのザンクト・ペルテンに所属する二田理央(右から2番目)とクラブの日本人スタッフ。photo by Asada Masakiこの記事に関連する写真を見る 幸いにしてザンクト・ペルテンには、テクニカルダイレクターのモラス雅輝をはじめ、日本人スタッフが複数所属。トップチーム専用の練習グラウンドなど、充実の練習環境ばかりでなく、そうした支えも20歳の二田には心強い味方となっている。

「本当に環境は整っていますし、今はお金(年俸)のこととかは関係ない。後々自分が成長して上に上がっていったら、そういうものもついてくると思っています」

 2部リーグに身を置く二田にとっては、同じオーストリアで2部から1部、さらにはリーグ・アンへとステップアップした中村は、いわばロールモデルとなる先輩だ。昨季は中村の試合をリンツまで見に行き、「自分も早くこの(1部リーグの)舞台に立ちたい」と思いを強くしてもいる。

 頼もしい先輩、中村が語る。

「一度、(昨季の)冬のプレシーズンで(ザンクト・ペルテンと)練習試合をした時、彼(二田)はケガで出ていなかったんですけど、その試合を見てくれていたのと、ホーム最終戦だったかな、彼が見に来たいというので試合(リーグ戦)に招待してあげたので、その試合でそういうふうに感じてくれたのかな(笑)。いい活躍をすればステップアップできるよ、っていうのを見せられたのならよかったです」

 1部、2部を問わず、多くの日本人選手がプレーするベルギーやドイツに比べ、どちらかと言えば注目度の低いオーストリアリーグ。だが、中村の成功事例に加え、二田の順調な歩みを見る限り、新たなステップアップの舞台として注目しておきたいリーグである。

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