PSG、「スター路線」からの決別 エムバペがいなくても勝てるチームを建設中 (2ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

【新たなフィロソフィー】

 監督も4年で3人が入れ替わった。トーマス・トゥヘル(現バイエルン)もマウリシオ・ポチェッティーノ(現チェルシー)も決して悪い監督ではないが、高額選手を集めているだけにすぐに結果を出すことが求められ、そのプレッシャーは半端なかった。メッシは好きなようにプレーさせねばならず、ネイマールはどんな時も使わなくてはならず、エムバペは何にでも口を出してくる。

『フランスフットボール』誌のインタビューでエムバペが「このチームはバラバラだ。ここではチャンピオンズリーグ(CL)は勝てないかもしれない」と言ったのも、決してウソではなかったと思う。

 PSGの目標はCL優勝だ。しかしいくらスターを集めても、結果は出なかった。そこでこの夏、PSGは新たなフィロソフィーを持ってチーム作りを始めている。名前だけではない、本当に勝てるチームを目指して。

 その中心となるのは新監督ルイス・エンリケだ。

今季からパリ・サンジェルマンを指揮するルイス・エンリケ監督 photo by Reuters/AFLO今季からパリ・サンジェルマンを指揮するルイス・エンリケ監督 photo by Reuters/AFLOこの記事に関連する写真を見る エムバペの去就がわからず、来年以降もどうなるかわからないPSGは、エムバペがいなくても勝てるチームを作ろうとしている。若手を育てるのがうまく、ロッカールームもうまくまとめることができるルイス・エンリケを連れてきたのは正解だったと思う。

 新監督は、スーパースターではないが確実に実力のある選手を集めている。ウスマン・デンベレ(←バルセロナ、フランス代表、26歳)、ランダル・コロ・ムアニ(←フランクフルト、フランス代表、24歳)、マルコ・アセンシオ(←レアル・マドリード、スペイン代表、27歳)、ミラン・シュクリニアル(←インテル、スロバキア代表、28歳)、リュカ・エルナンデス(←バイエルン、フランス代表、27歳)。

 また、これからのことを見据えて、若く優秀な選手も多く集めている。マヌエル・ウガルテ(←スポルティング、ウルグアイ代表、22歳)、イ・ガンイン(←マジョルカ、韓国代表、22歳)、シェ-ル・ンドゥール(←ベンフィカ、イタリアU21代表、19歳)、ゴンサロ・ラモス(←ベンフィカ、ポルトガル代表、22歳)、シャビ・シモンズ(←アイントホーフェン、オランダ代表、20歳)。

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