伊東純也なくして攻撃は成り立たない リーグ・アンを代表する選手になる日も近い (3ページ目)
【中村敬斗がレギュラーに定着する可能性は十分】
その点については、チームメイトに同胞の先輩がいることは大きなアドバンテージになるだろう。それがあったからこそ、2試合目でスタメンの座を掴めたのかもしれない。
ここまでのプレー内容を見ると、まだ接近戦で自分の間合いでプレーできていないことが課題として挙げられる。それがわかっているから、なるべく相手と距離をとってプレーをするケースが多いのだが、それだけだと無難なプレーはできるが、なかなか相手の脅威にはなれない。
今後、試合を重ねるごとに、接近戦でどのような変化が見られるようになるかは、中村の活躍度を計るバロメーターのひとつになりそうだ。
また、左SB(ジョシュ・ウィルソン=エスブランド)とのコンビネーションも課題のひとつに挙げられる。ただし、初先発したクレルモン戦と比べると、第3節のモンペリエ戦のほうが局面におけるお互いのプレーゾーンの棲み分けが整理されつつあったので、この点については改善中と見ていい。
伊東と違い、激しいポジション争いを強いられる中村にとって、当面のライバルになるのは開幕戦で先発したカドラと、中村と同じ移籍金で新加入したダラミーだ。
特に伊東のアシストで初ゴールを記録したダラミーは、いいプレーとミスがはっきりしているタイプのアタッカーである。そこでウィル・スティル監督は、現時点では中村をスタメンで起用し、勝負をかける時にダラミーを投入するというカードの切り方を選択している。
それだけに、この采配が続いている間に、中村としては何としてもゴールやアシストといった結果を残すことが重要になるだろう。いずれにしても、前途洋々とは言えないまでも、レギュラー定着の可能性は十分に残されている、というのが中村の現状か。
ともあれ、チームの大黒柱になりつつある伊東と、今後の成長が期待できそうな中村がともにプレーするスタッド・ランスは、日本のサッカーファンにとって必見のチームと言えるだろう。
著者プロフィール
中山 淳 (なかやま・あつし)
1970年生まれ、山梨県出身。月刊「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部勤務、同誌編集長を経て独立。スポーツ関連の出版物やデジタルコンテンツの企画制作を行なうほか、サッカーおよびスポーツメディアに執筆。サッカー中継の解説、サッカー関連番組にも出演する。近著『Jリーグを使ってみませんか? 地域に笑顔を増やす驚きの活動例』(ベースボール・マガジン社)
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