あのファン・バステンも大絶賛! スペイン代表を頂点に導いたのは「守備でゴールをアシストする」18歳の攻撃的MF

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

 3万人のクロアチアサポーターが6月18日に行なわれたネーションズリーグ決勝戦の舞台ロッテルダムに集結し、市街地とスタディオン・フェイエノールトをジャックした。その壮観な様に、クロアチアメディアはひと言『クロッテルダム』と表した。

 1991年に独立した若い国のサポーターたちは、タイトルに飢えていた。1998年フランス大会で3位、2018年ロシア大会で準優勝、そして2022年カタール大会で3位と、クロアチアはどうしても戴冠に至らない。

 ワールドカップやユーロに比べてネーションズリーグのステイタスは劣るものの、欧州エリート国同士の戦いは実にハイレベル。この大会で頂点に立つことは至難の業だ。

MFガビはバルセロナ所属の18歳MFガビはバルセロナ所属の18歳この記事に関連する写真を見る 一方、スペインサポーターは3000人ほどか。スタジアムの片隅に陣取る彼らがチャントを歌うと、即座にクロアチアサポーターの応援のボルテージが上がって、かき消されてしまう。スペインは完全敵地のなかで、クロアチアとの決勝戦を戦ったのだ。

 ホームの雰囲気に、クロアチアの選手たちは勇気をもらったことだろう。スペインの選手たちが完全敵地の不利を感じてもおかしくなかった。しかし、両チームの選手たちはピッチの上を本来あるべきニュートラルな舞台に戻し、スタンドの喧騒に左右されることなく、90分間+延長+PK戦の激闘を戦いきった。

 一度くらいはクロアチアの選手がゴール裏のサポーターをあおって、さらなる応援をリクエストしたかもしれない。タイムアップ直後には両軍入り乱れる場面もあった。

 だが、120分間を通じて感じたのは「スペインとクロアチアはともにボールコントロールの技術が高いうえ、メンタルコントロールもずば抜けているな」ということ。

 デュエル、プレッシングといった場面でのハードマークは、テクニシャン揃いの両チームにとって咄嗟(とっさ)のテクニック、阿吽(あうん)の呼吸のコンビネーションの見せどころであると同時に、コンタクトプレーによって転がされることもある。しかし、彼らは怒りのリアクションを最低限にとどめ、観客席の異常な盛り上がりにあおられることもなく、各自に与えられたタスクやプレーのチャレンジに集中し続けた。

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