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W杯優勝メンバーが元チームメイト、強盗に銃を突きつけられたことも... アルゼンチンでプロ契約した日本人が語るサッカー大国のリアル

  • 栗原正夫●文 text by Kurihara Masao
  • photo by Goto Kou

世界こんなところに日本人サッカー選手(5)アルゼンチン

 いまやサッカー日本代表メンバーのほとんどは海外組となった。昨年のカタールW杯では登録メンバー26人のうち、実に19人がドイツやフランス、イングランドなどサッカーの本場"西ヨーロッパ"でプレーする選手だった。この事実は、日本サッカーのレベルアップのひとつの象徴かもしれない。

 ただ、サッカーはスポーツのなかで最もワールドワイドであり、盛んなのは西欧だけではない。環境や求めるものは、その土地によって様々。世界中のあらゆる地域でプレーしている日本人選手を追った。

アルゼンチン4部のデポルティーボ・リニエルスでプレーする後藤航アルゼンチン4部のデポルティーボ・リニエルスでプレーする後藤航この記事に関連する写真を見る「ホームでも連敗したり、いいプレーができていない時は、サポーターから容赦なく『クソッタレ!』とヤジられます。負ければ"ゴミ扱い"ですし、サポーターが暴れることも珍しくない。いつだったか、スタンドで暴れ出したサポーター集団が、2階席から1階席にホットドックのスタンドを投げ入れたこともありました。ホームで負ければ試合後は気軽に外出できないし、それがダービーならバスが囲まれ平気で石とか飛んできます(笑)」

 そう話すのは、アルゼンチン・プリメーラC(4部)のデポルティーボ・リニエルスに所属する後藤航(27歳)である。

 2015年に高校を卒業すると単身アルゼンチンへ渡り、アルヘンティノス・ジュニアーズのユースチームに10カ月所属したあと、デポルティーボ・リエストラの4軍、コルドバ州の地域リーグ(7部相当)、ラシン・デ・マダリアガ(6部→5部→6部)を経て、2018年7月に当時3部のアルミランテ・ブラウンとプロ契約。アルミランテではデビュー戦でいきなりゴールを決めるなどして話題になったこともあったが、その後はデポルティーボ・メルロ(4部)、コロンビア1部のボジャカ・チコの練習参加などを経て、2022年よりリニエルスに所属する。

 日本に帰国中の後藤に会ったのは、アルゼンチン4部の2023年前期リーグ真っ只中の5月上旬のことだった。聞けば、昨季のプレーに納得がいかず、一度は引退を決意したものの、「こんな形で終われない。いま辞めたら後悔する」との感情が湧き上がり、旧知のクラブ会長からの誘いもあって引退を撤回。後期リーグ(6月2日開幕)から、再びリニエルスに合流している。

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