久保建英、「22歳でCL出場」の目標をクリア。アトレティコ戦は最高峰の舞台を戦ううえでの教訓に (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 中島大介●撮影 photo by Nakashima Daisuke

【久保にとって必要なコンビネーション】

 久保は、完全に孤立していた。自陣、もしくはブロックの外側でボールを持つだけで、敵の戦線に入り込めない。そこで、積極的な前線からの守備でスイッチを入れようとしたが、ディエゴ・シメオネ監督率いるアトレティコは無理してボールをつなぐチームではなく、肩透かしを食らった。

 それは単騎で門を閉じた城に攻めかかるに等しかったか。

 味方の援護さえあれば、コンビネーションを使って怖さを与えられただろう。しかし、この日はダビド・シルバがケガで不在、近くにサポートを得られなかった。逆サイドのミケル・オヤルサバルも不調で(前十字靭帯断裂からの復帰で、トップフォームを取り戻すには時間がかかっている)、チーム全体の攻撃が手詰まりになったのもあるだろう。

 ラ・レアルは打開策が見つからず、手をこまねいている間にペースを奪われる。フランス代表アントワーヌ・グリーズマンなど有力選手を擁する相手に押し込まれ、5-4-1の守備陣形を敷かざるを得なくなると、持ち味の攻撃力が出せなくなった。そして、一瞬の隙をグリーズマンに突かれて失点。堅陣を前に、このハンデは大きかった。終盤はオープンな展開になったが、チームの厚みで敗れた。

「久保が最高の技術のディテールを示したのは間違いない。しかし、その影響が(脅威を与えるには)届かない位置だった。アトレティコのディフェンスは彼をうまく封じていた」

 スペイン大手スポーツ紙『アス』は、この試合の久保についてそう評価している。

 久保は高いボール技術を見せ、何度か相手に潰されたが、ほとんどが自陣、もしくは敵ゴールから遠いところだった。ドリブルで運ぶ技は見るべきものはあったが、危険な地域の外側。アンデル・バレネチェアが左サイドに投入された後、レギロンが足を使って消耗していたこともあって、久保も躍動し始めたが、71分で交代を命じられている。

 この敗戦は来季に向け、ひとつの教訓と言える。

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