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久保建英、CLに王手でアトレティコ戦へ 現地紙が「チャンピオン級」と称賛する英雄譚の最終章 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

【相性のいいアトレティコ・マドリード】

 久保は、以前にも増してタッチラインを使うのもうまくなった。極限まで幅を取って味方のスペースを生み出すだけでなく、ライン際でのドリブルで抜け出す姿も多くなっている。だからこそ、カットインしたあとの怖さも増幅する。前進するドリブルに迫力があり、相手にボールを触られても、不思議と失わない。リオネル・メッシがそうだったように、五分五分のボールを自分のものにできる無敵の感覚だ。

「久保番」

 各チームにとって、それは難しい役目になりつつある。かつてバルサBにいたセルヒオ・アキエメは、GKからのパス1本で抜け出す久保に手を焼き、持ち味の攻撃力を出せなかった。また、ラ・レアルのBチームにいたスルジャン・バビッチも、常に後手に回っていた。ひとりで止められる選手ではなく、10人になった時点で勝負は決していたのだ。

 久保は終盤にもゴールに迫った。マルティン・スビメンディのパスを受け、右サイドを軽々と突破。ゴールラインからマイナスに折り返し、途中出場のアンデル・バレネチェアのシュートをアシストした。ボールはポストを直撃して追加点にならなかったが、要所で押し込み、敵の反撃の望みを粉砕した。

「久保はラ・リーガのスーパースター!」

 スペイン大手スポーツ紙『マルカ』も、久保への賛辞を惜しまなかった。

「なぜバルサもマドリードも彼と契約したのか。久保は今ラ・レアルで、その理由を証明している。彼は『来季はCLのアンセムを聞く』と公言してきたが、それを実現しつつある」

 前半のうちにダビド・シルバがケガで交代したあとも、久保は頼もしさを見せている。シルバとのコンビネーションは"最高傑作"だが、それに依存していない。シルバ抜きでも勝負を決めてきたところに、より英雄感が漂う。

 久保はどこまで辿り着くのか?

 5月28日、ラ・リーガのビッグ3の一角であるアトレティコ・マドリードとの一戦は、今後の試金石になるだろう。この試合に勝てばCL出場権が確定する。

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