三笘薫以上の選手はイタリア代表、スペイン代表にいない 左ウイング輩出国がわかる歴代ベスト20選手 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by JMPA

【Jリーグでもプレーした名ウインガー】

 左利きの選手は一般的に、進行方向が読みやすいと言われる。格闘技で言うところの半身(はんみ)の体勢から、おおよそ左足1本でプレーするからだが、クラウディオ・ロペスは変幻自在だ。低重心のフォームから両足を車輪のように滑らかに回転させ、右方向にも左方向にも鋭い角度で突き進む。ライン際を突いて出てもよし、切れ込んでもよし。ゴールにさまざまな角度から迫れるので得点力もある。2トップの一角としても持ち味を発揮する。

 クラウディオ・ロペスは翌シーズン、ラツィオへ移籍。活躍が相手の目に止まり、引き抜かれた格好だ。一方、バレンシアは翌シーズンもCL決勝に進出してバイエルンと対戦。延長PK戦で2シーズン連続涙を飲んだ。クラウディオ・ロペスがそこにいれば、結果は違っていたはずである。

【8位】ミカエル・ラウドルップ(デンマーク)=右利き

 ラツィオ、ユベントスを経てバルセロナへ。ヨハン・クライフが監督の座に就いた翌シーズン(1989-90)の話だ。ウイングプレーを好むクライフサッカーの申し子として活躍した。左ウイングには左利きを、右ウイングには右利きを置くのが当時の定番だったが、クライフは右利きのミカエル・ラウドルップを左に、左利きのフリスト・ストイチコフを右に配置。いまでは多数派を占めるこの左右の関係が浸透していくきっかけになった。

 グングン加速していくドリブルは、さながらスポーツカーだ。弟のブライアンにも言えることだが、搭載しているエンジンが違うという感じだ。スピードが出てもバランスが崩れない。ボールコントロールも乱れない。安定感を感じるドリブラーだ。

 1993-94シーズン、ロマーリオがバルサ入りし、外国人選手がロナルト・クーマンを含めて4人になると、外国人枠が当時は3人だったため、ミカエル・ラウドルップの出番は、この4人のなかで一番減少した。すると翌シーズン、レアル・マドリードへいわゆる"禁断の移籍"を果たした。そこで2シーズン過ごした後、ヴィッセル神戸にやってきた。ここで挙げるベスト20人のなかで、Jリーグでプレー経験があるのは、ミカエル・ラウドルップの他にはポドルスキ(17位)に限られる。

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