ミランはインテルを逆転できるか CL準決勝第2戦のカギは第1戦を負傷欠場したポルトガル代表が握る (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Reuters/AFLO

【ミランに逆転の可能性は?】

 開始早々の3分の間に2ゴール。ミランは入り方を間違えたと言うべきか、出鼻をくじかれ、なおもインテルの攻撃を受け続けた。インテルは3点目を積極果敢に狙いにいった。

 その5分後(16分)にはチャルハノールが、ポスト直撃弾を放てば、そのこぼれを拾ったムヒタリアンが、GKマイク・メニャンを強襲する右足シュートを続けざまに飛ばした。そのまさにイケイケムードは、20年前のインテルからは想像できないノリだった。

 インテルの攻勢はさらに続く。右ウイングバック、デンゼル・ダンフリースがスローインを相手ペナルティエリア方向に向けて投げ入れると、ミランCBシモン・ケアーが処理を誤り後逸。ラウタロがその先を走ると、ケアーはたまらずその脇腹に手をかけた。スペイン人の主審へスース・ジル・マンサーノは、転倒するラウタロを見て、すかさずPKスポットを指さした。しかしVAR室から連絡が入る。それを受けビデオを見直したマンサーノ主審はPK判定を覆した。

 3点目が入っていれば、試合は第2戦を待たずに、インテルの勝利で八分どおり決まっていたはずだ。チャルハノール、ムヒタリアンのシュートが決まらず、PK判定が取り消されたことは、接戦を願う第三者にとっては歓迎すべき出来事だった。

 後半、攻撃的サッカー度でインテルに勝るミランは立て直しを図り、押し返す。2点先取したインテルが、勝利の二文字が目の前にちらつき始めたのか、守勢に回るシーンが続いた。

 2-0は1点差に詰め寄られれば一転、逆境にさらされる。差はあってないようなもの、セーフティーリードではない、とよく言われる。説得力があると言えば、ある。当たり前の話、とも言える。だが、実際に2-0から2-1とされ、お尻に火がついたことで慌てふためき2-2とされ、挙げ句、逆転に追い込まれるという展開を見せられた経験は実は少ない。言われているほど、滅多にある話ではない。

 しかし、それは試合時間が90分の場合だ。180分の場合、話は別になる。

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