三笘薫が克服すべき課題が見えたマンU戦 一流ウイングの証である「縦抜け」をやめたのはなぜか (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by REUTERS/AFLO

 それなりに強烈ではあったが、ゴールが入る確率はせいぜい4?5%という無謀に近い一撃だった。三笘にパスを送るなら、自分で打ったほうがマシ。エストゥピニャンに三笘はそう判断させてしまったことになる。

 後半の追加タイムは続く。98分、相手CBルーク・ショーがハンドの反則を犯し、ブライトンは土壇場でPKをゲット。アレクシス・マクアリスターがゴール左上隅にこれを決め、1-0で勝利を飾った。

 マンチェスター・ユナイテッド(4位変わらず)との勝ち点差は8に縮まり、順位も8位からEL圏内である6位に上昇。ブライトンは万々歳の結果に終わった。PKが決まるや、三笘も喜びを爆発させるかのように両手を広げ、歓喜の渦巻くゴール裏のサポーター席に駆け寄った。だが、個人としての満足度はどれほどだったのか。

 とは言ってもフル出場だ。対峙する右SBに自慢のプレーを封じられれば、普通のウイングならば交代だ。集中力を切らし、ドツボにハマっていくものだが、三笘にはそれがない。精神的に大きく崩れることはない。賢い選手に見える。アタッカーに必要な爆発性を発揮することはできなかったが、それでも10段階の採点で7近い数字はつけられる。それもまた三笘の魅力なのかもしれない。

プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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