マンチェスター・シティ、プレミア天王山を制して事実上の逆転 最大目標のCL初制覇に向けても視界良好 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by AP/AFLO

【バイエルン戦とは違う戦い方に】

 開始7分、その間隙をケヴィン・デ・ブライネが突いた。最後尾から蹴ったジョン・ストーンズのロングフィードが1トップ、アーリング・ハーランドの足もとに収まる。その横を駆け抜けたのがデ・ブライネだった。ハーランドのポストプレーを受けるとドリブルで前進。その進路、コース取りが秀逸だった。真ん中から右に持ち出したシュートも同様で、鮮やかにゴール右に、胸のすくような一撃を決めた。

 1トップのハーランドに対し、デ・ブライネの定位置は4-3-3のインサイドハーフだ。4-3-3は4-2-3-1に比べ、1トップとその下との距離が離れている。ハーランドにはボールを収める力がある、間を持たせる力があると言うものの、デ・ブライネ、さらにはもうひとりのインサイドハーフ、イルカイ・ギュンドアンとの距離が離れると、さすがに孤立する。

 それを恐れたのか、この日のデ・ブライネは4-3-3のインサイドハーフにしては高く構えた。4-4-「1」-1の「1」、1トップ脇に近かった。他方、両ウイング、ベルナルド・シウバ(右)、ジャック・グリーリッシュ(左)は、ウイングと言うよりサイドハーフ的で、さらに言うなら独特のポジションをとることが多いサイドバックも、いつになくオーソドックスに構えた。

 前半26分、標準的な右SBとしてプレーしていたカイル・ウォーカーが、ハーランドにロングフィードを送る。するとデ・ブライネは、それと呼応するように走った。19分前のシーン同様、ハーランドの脇を走ると、その鼻先にパスが出た。シュートは阻止されたが、筆者にはこれがあらかじめ立てられた作戦に見えて仕方なかった。

 その2分後にはデ・ブライネのパスにハーランドが反応。真ん中を縦関係にある2人で崩すシーンが続いた。

 両ウイングの活躍が目立った1週間前のCL準々決勝バイエルン戦とは、戦い方の様相が少しばかり異なっていた。ハーランド、デ・ブライネを軸とする中央突破型のサッカーにアーセナルは慌てた。

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