久保建英はモウリーニョのローマと激突 日本代表選手たちが今年もヨーロッパリーグで頂点を目指す

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 中島大介●撮影 photo by Nakashima Daisuke

 3月9日、ヨーロッパリーグ(EL)のラウンド16が各地で開催される。

 守田英正を擁するポルトガルの名門スポルティング・リスボンと冨安健洋が所属するイングランドの強豪アーセナルの一戦は、「日本人対決」として注目されるだろう。守田は中盤で定位置を確保。一方の冨安はプレミアリーグで首位を走るチームで、コンディション面でフィットせずに苦しんでいる。

 また、堂安律が攻撃をけん引するドイツのフライブルクは、イタリアのユベントスとベスト8をかけて火花を散らす。堂安の一撃が、かつて世界を席巻した"低迷する元王者"に引導を渡すのか。夢のある一戦だ。

 昨シーズンのELは、鎌田大地、長谷部誠というふたりの日本人が在籍するドイツのフランクフルトが制している。欧州に「日本代表」の名を轟かせた。その戦いは、カタールW杯の森保ジャパンにも少なからず影響を与えている。

 そしてELのラウンド16で最も注目される対戦カードの一つが、グループリーグでマンチェスター・ユナイテッドを破り首位で突破したスペイン、レアル・ソシエダ(以下ラ・レアル)と、昨シーズンはヨーロッパ・カンファレンスリーグ(ELよりひとつ下のカテゴリー)で優勝したイタリアのASローマの一戦ではないだろうか。

 ラ・レアルには日本代表の久保建英がいる。

リーグ戦前節のカディス戦でも攻撃を牽引していた久保建英(レアル・ソシエダ)リーグ戦前節のカディス戦でも攻撃を牽引していた久保建英(レアル・ソシエダ)この記事に関連する写真を見る 2月、久保はクラブの月間MVPに選ばれた。3試合連続ゲームMVPを受賞しているだけに当然だろう。名手ダビド・シルバが不在のなかでチームを引っ張り、中心的な存在になった。

「タケ(久保)は守備でスイッチを入れられる」

 現地では、特にそこが高い評価を受けている。前線からのプレスの強度、タイミングに優れ、押し込んでプレーし続けるための足がかりになっている。単純に球際でボールを奪い取る力も高い。直近のカディス戦でも、敵陣で巧妙にボールを奪い返し、ショートカウンターを発動させ、ミケル・オヤルサバルのスルーからカルロス・フェルナンデスの決定的シュートを演出した。

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著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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