恐るべしゴンサロ・ラモス チェルシー、ベンフィカがともにポルトガル代表アタッカーの活躍でCL8強へ

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Reuters/AFLO

 チャンピオンズリーグ(CL)決勝トーナメント1回戦セカンドレグ、チェルシー対ドルトムント、ベンフィカ対クラブ・ブルージュは、チェルシー、ベンフィカがそれぞれ2-0、5-1で勝利。合計スコアでも上回った両者が、準々決勝に駒を進めた。

 ドルトムントが初戦で1-0の際どい勝利を収めたチェルシー対ドルトムントは、お互いの戦力はスコアどおりほぼ互角。だがこの日は、初戦で決勝ゴールをマークしたドイツ代表のカリム・アデイェミが欠場。右ウイングとして先発した同じくドイツ代表ユリアン・ブラントも開始早々、ケガでベンチに退くことになった。

 対するチェルシーは、布陣を4-2-3-1から3-4-2-1に近い3-4-3に変更して臨んだ。5バックになりやすい守備的な3バックを布いたにもかかわらず、開始直後から攻勢に出た。ホームのスタンドを満員に埋めた観衆の後押しがあったことは確かだ。しかし、これまでのチェルシーにはない洒脱な魅力が原動力になっていたことも事実だった。

 開始6分、ジョアン・フェリックスは対峙するDFのタイミングを外し、縦突破からシュートに持ち込む。その2分後にも、この冬アトレティコ・マドリードからやってきたばかりのポルトガル代表の23歳は、1トップのカイ・ハベルツに高級なワンタッチパスを供給していた。相手DFの反則気味のチャージを受け、シュートは惜しくも外れたが、華のある技巧派アタッカーが立て続けに本領を発揮すると、スタンドは湧いた。ドルトムントは萎縮したのか、引いて構える展開になった。

 ジョアン・フェリックスとチェルシーの相性のよさが際立つ流れのなかで、ラヒーム・スターリングの先制点(前半43分)、そしてハベルツの逆転弾(後半8分)は生まれた。

 そこからドルトムントは反撃。チェルシーゴールに迫った。なぜ最初からキチンと攻めなかったのか。試合の入り方を間違えた――とは、よく使われる言い回しだが、この試合のドルトムントがまさにそれだった。

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プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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