エムバペの負傷で途端に弱ったパリ・サンジェルマン。メッシ、ネイマールを生かし、CLバイエルン戦に勝つ方法は何か (2ページ目)
【守備ブロックは結局、脆弱】
エムバペ、メッシ、ネイマールのアタックラインは世界最高のクオリティと言っていい。1人でもスーパーな選手が3人並んでいる。これはどんなチームにとっても大きな脅威だ。
一方で、このスーパースター3人は守備をしない。もちろん全くしないわけではないが、現代サッカーの基準に照らせば全くしないに等しいので、パリSGは3人を勘定に入れないで守備を成立させなければいけない。
ワールドカップ後のメッシ復帰戦となったリーグアン第18節アンジェ戦は、1つの回答を示していた。システムは3-4-2-1で、メッシとネイマールはシャドーの「2」。エムバペが負傷中の1トップは、ウーゴ・エキティケが務めた。メッシが右のハーフスペース、ネイマールが左のハーフスペースを担当、2人の特徴が最も発揮される場所である。
両サイドにはウイングバックが上がってウイングとなる。つまり、攻め込んだ時のシステムは3-2-2-3。この試合はメッシとネイマールの活躍で2-0と勝利した。
守備で引いた時には5バックになるので、ディフェンスラインの横幅は埋められる。ただ、5バックの前面を守るのは2ボランチだけ。5-2の守備ブロックはブロックと言うのも憚られるほど隙があった。
もう1つの形として、4-3-1-2がある。マルセイユ戦ではメッシ、ネイマールの2トップの下にヴィティーニャが起用されていた。終盤にはエキティケ、メッシの2トップにネイマールのトップ下。こちらがエムバペの起用を想定した本来の形である。
4バックにボランチ3人、ネイマールをトップ下に配して、メッシとエムバペの2トップだ。この並びの時のネイマールは、守備もそれなりに行なう。ネイマールが守らなくても4-3のブロックにはある程度守備耐性はあるはずだった。しかし、マルセイユ戦ではダニーロ・ペレイラ、ファビアン・ルイス、ヴェラッティの3ボランチでは、相手の攻勢を防ぎきれなかった。
結局、守備ブロックが4-3でも5-2でも脆弱性はさほど変わりないのだ。攻め込まれた時には7人のブロックでは足りず、あと2人の援護がほしいのだが、メッシとネイマールにそれは期待できず、エムバペもいるとなれば、7人ブロックが8人になることさえない。ある程度ネイマールは守ってくれるが、どのみち守備は根本的に人数不足なのだ。
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