カタールW杯で6回目の優勝に突き進むセレソン。ヨーロッパナイズされながら、ブラジルらしさを漂わせる魅力的な仕上がり (4ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

ヨーロッパ風を呑み込んだブラジルの伝統回帰

 2002年日韓W杯で、5回目の優勝を全勝で成し遂げたチームは、1994年の可変式がベースになっている。ルイス・フェリペ・スコラーリ監督はブラジル南部出身。ザガロの比ではない堅実タイプで、3R(ロナウド、リバウド、ロナウジーニョ)の個人技によるカウンターと堅守のスタイルで勝ち抜いた。

"フェリッポン"は2014年ブラジルW杯でも指揮を執り、対戦相手に合わせてロングボールも多用するなど現実路線を貫くも、準決勝でドイツに1-7と歴史的大敗を喫する「ミネイロンの惨劇」という後味の悪さを残した。

ブラジル代表の主要メンバーブラジル代表の主要メンバーこの記事に関連する写真を見る チッチ監督が率いる現在のチームは、これまであった揺れを感じさせない仕上がりになっている。ヨーロッパナイズされた攻守ながら、スピードとテクニックで圧倒するガリンシャ型のウイングを揃え、1970年のペレ&トスタンを彷彿させるネイマール&パケタのダブル10番の復活という味つけがブラジルらしさを感じさせるのかもしれない。

 すでに「ヨーロッパ」はブラジルらしさを阻害する必要悪ではなくなった。ヨーロッパっぽいのに、まさしくブラジルの香りがする。現在のブラジル代表は、サッカーのグローバル化の象徴と言えるかもしれない。

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