カタールW杯ドイツ戦の最大の敵、キミッヒの特長を風間八宏が解説。森保ジャパンが彼を抑えるにはどうすればいい? (3ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images

時間と場所を与えたくない

 では、カタールW杯で、日本がドイツから勝ち点をもぎとるためには何をすべきか。ドイツ最大のキーマンであるキミッヒを抑え込むためには、どうすればいいのか、風間氏に聞いてみた。

「大事なのは、彼に時間と場所を与えないことです。先ほども話したように、キミッヒは時間と場所に余裕があれば、正確なパスやシュートでゲームをコントロールできる。すべてにおいて精度が高いので、彼に余裕を与えてしまうと、日本にとっては苦しい展開になってしまいます。

 逆に、時間と場所を与えなければ、なかなかボールを受けられなくなる傾向があるので、キミッヒの特長も半減するはずです。たとえば昨シーズンのブンデスリーガ後半戦では、相手もキミッヒを抑えることを強く意識したので、彼が背中向きでプレーする時間が増えてしまい、結局、バイエルンのサッカーも停滞してしまいました。

 ただし、キミッヒを抑えるためにマンマークをつければいいという単純な話ではありません。ドイツにはキミッヒ以外にも世界トップレベルの選手たちが揃っているので、チームとしてどうやって戦うかを整理しておくことが重要になるでしょう。

 ドイツの距離と時間のなかで戦うと日本は厳しくなるので、いかにして日本の時間と場所で戦えるか。

 とはいえ、実際は簡単ではありません。少なくともそれを念頭に置いて、キミッヒに前を向かせないような戦いができれば、日本としては面白い展開に持ち込めるのではないかと思います」

 果たして、指揮を執る森保監督はどのような戦い方でドイツに挑むのか。最大のキーマンであるキミッヒの持つ武器を、どうやって封じるのか。

 本番までに残された時間は、3カ月を切った。

ヨシュア・キミッヒ
Joshua Kimmich/1995年2月8日生まれ。ドイツ南西部のバーデン=ヴュルテンベルク州ロットヴァイル出身。シュトゥットガルトの育成組織で成長し、2013年にライプツィヒでプロデビューした。2015年からはバイエルンでプレーし、DF、MFなどさまざまなポジションで活躍。ブンデスリーガ7回、CL1回の優勝を経験し、現在、中心選手として活躍している。ユース時代から各年代のドイツ代表でプレーし、A代表は2016年にデビュー。以降、ドイツ代表でもチームの中心だ。

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風間八宏 
かざま・やひろ/1961年10月16日生まれ。静岡県出身。清水市立商業(当時)、筑波大学と進み、ドイツで5シーズンプレーしたのち、帰国後はマツダSC(サンフレッチェ広島の前身)に入り、Jリーグでは1994年サントリーシリーズの優勝に中心選手として貢献した。引退後は桐蔭横浜大学、筑波大学、川崎フロンターレ、名古屋グランパスの監督を歴任。各チームで技術力にあふれたサッカーを展開する。現在はセレッソ大阪アカデミーの技術委員長を務めつつ、全国でサッカー選手指導、サッカーコーチの指導に携わっている。

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