久保建英、バルサに完敗もディフェンダーを翻弄。攻守に光る集中力 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 中島大介●撮影 photo by Nakashima Daisuke

デ・ヨング、アラウホを翻弄

 6分、同点弾の場面では、敵陣でフレンキー・デ・ヨングをダビド・シルバと挟み込み、ボールを奪うことに成功。そこからのパスを受けたアレクサンデル・イサクが、かつて久保とチームメイトだったエリック・ガルシアに競り勝ち、ゴールネットを揺らした。

「役目に対する勤勉さ」

 開幕戦後にイマノル・アルグアシル監督は、久保の献身的で頭を使った守備を高く評価していたが、この日も、攻守ともに集中力の高さが光った。

 26分には味方がつなげたボールを、久保は迅速に右のイサクへ展開。左からゴール前に走り込んだミケル・メリーノへパスが通り、強烈なシュートがGKを襲う。そのこぼれに鼻を利かせて走り込んだのが久保で、左足で狙ったシュートはわずかに右へ逸れた。すばらしいプレーだが、彼の技術の高さを考えれば、ここで決めていれば一気にスターダムを駆け上がったはずだ......。

 久保はバルサの選手を相手に、互角以上のプレーを示していた。ラインの間を行きかい、鮮やかなターンで敵の焦りを誘った。50分にはロナルド・アラウホと入れ替わるコントロールで完全に抜け出しかけたところ、後ろからあからさまにシャツを引っ張られて、イエローカードを食らわせた。カバーも遅れていただけに、得点機会阻止(レッドカード相当)すれすれのプレーだった。

 それだけ、久保は脅威を与えていた。

「アクティブな前半はとてもよかった。しかし後半になってチームの流れに引きずられ、次第にスイッチがオフに。ただ、ゴールできる機会はあったし、得点にも関与できた」

 スペイン大手スポーツ紙『アス』の寸評も、決して悪くはない。

 60分を過ぎて、レアル・ソシエダはチーム全体に疲労の色が濃くなっていった。開始からかなりの強度でプレーし、カウンターで失点を喫しながら取り返し、同点に追いついた。しかしその消耗は甚大だった。頭と足を使いすぎた。

 一方で、バルサはファティ、ラフィーニャという強力なアタッカーふたりを投入。軽やかにゲームテンポを上げた。66分、ウスマン・デンベレがゴールネットを揺らし、戦力差を見せつけた。レアル・ソシエダはリードを許すと、反撃の余力は残っていなかった。

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