2022.05.21

ミラン、11季ぶりVが目前。火の車の財政状態からどうして復活できたのか

  • マルコ・パソット●文 text by Marco Pasotto
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 かつて、ミランは世界で最もタイトル数の多いクラブと言われていた。80年代の終わりから90年代にかけて、国内だけでなく、ヨーロッパでも世界でも絶対的な強さを見せていた。しかしその後少しずつ表舞台から消えていく。ミランが最後にリーグ優勝したのは2010-2011のこと。以来、10年以上スクデット(優勝)から遠のいている。

 昨シーズンは、9年間にわたりイタリアサッカー界を支配していたユベントス王朝が崩壊した。その後を継ぐのはインテルなのか、それともミランか、数カ月前からイタリアではこの話でもちきりである。昨シーズンはインテルが優勝、ミランが2位だった。では今季は?

 ミランのステファノ・ピオリ監督は数週間前からこう繰り返している。

「今、ミランがこのポジションにあるのは、我々が優秀であったからに他ならない。しかし、勝者になるにはあと一段、階段を上る必要がある。ここで失敗すれば今までの努力は水の泡だ」

ホーム最終戦でアタランタに勝利し、選手と抱き合うステファノ・ピオリ監督 photo by Reuters/AFLOホーム最終戦でアタランタに勝利し、選手と抱き合うステファノ・ピオリ監督 photo by Reuters/AFLO この記事に関連する写真を見る  だが、今シーズンがどんな結果に終わろうと、彼が監督に就任してからの2年半、ミランがしてきたことは決して無駄にはならない。なぜならミランはすでにイタリアサッカー界のスポットライトの下に戻ってきているからだ。

 ミランのレジェンドで現テクニカルディレクターでもあるパオロ・マルディーニもミランTVのインタビューで、こう述べている。

「ミラニスタとしての気持ちを率直に言うと、私はこのチーム、スタッフ、そしてサポーターたちを誇りに思う。本物の感動を与えてくれ、我々を幸せにしてくれている。開幕当時はミランが上を目指せるチームであると信じない人々もいたが、我々は逆にこれを跳ね返して頑張ってきた。今、我々がこの順位にいるのは、いつも自分たちを信じてきたからだ。この20年でミランがスクデットを勝ち取ったのは2回。チャンスが訪れたらそれに向けて全力で立ち向かうべきだ」

 セリエA最終節を前に、ミランは2位インテルを2ポイントリードしている。ミランはサッスォーロ戦で引き分け以上ならば自力優勝。たとえ最終戦を落としたとしても、インテルがサンプドリアに勝たない限りは優勝が決まる。勝ち点が同じだった場合の直接対決の結果もミランに有利だからだ(2戦2勝)。