パリ・サンジェルマンはメッシ、エムバペ、ネイマールのMMNでCLを獲れるのか。システムの最適解はいまだ見つからず (3ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

【解決のヒントはフランス代表】

 このなかでは、ベッラッティがコンディションさえ問題なければファーストチョイスだ。中盤のコントロールとプレッシングの両面に卓越した存在で、MMN以上に不可欠の選手と言える。

 ベッラッティと組む残り2人は誰が出ても運動量、インテンシティ、テクニックを兼ね備えていて、MMNを支えるには理想的な陣容になっている。この点はかつてのバルセロナやレアル・マドリーよりも強固だろう。

 4バックはアクラフ・ハキミ、マルキーニョス、プレスネル・キンペンベ、ヌーノ・メンデスでほぼ決まり。GKもケイラー・ナバス、ジャンルイジ・ドンナルンマのどちらもワールドクラスである。

 簡単に言えば、7人で守って3人で攻める。バランス的にはリバプールと似ているけれども、前線3人の守備力が比較にならない。ハイプレスが極めてあてにならないのは明白であり、したがってビルドアップに長けた相手には引かざるをえない。DF4、MF3の7人ブロックで守りきれるかどうか。もう1人、2人を加えるならMMNの誰から下げるのか。

 そもそもMMNを守備ブロックに入れる行為は高級マグロを煮て食うようなことにならないか。抜群のアタッカー3人を擁しながら、彼らが抜群の守備者でないがゆえに、彼らの真価を担保できないジレンマがあるわけだ。

 解決方法として考えられるのは、セルヒオ・ラモスを起用した3バックかもしれない。

 ラモス、マルキーニョス、キンペンベを並べれば中央は無類に固くなる。ボランチ2人で中盤を賄うのは大変だが、どのみち引かされて7人で守るなら、3-4または5-2のブロックのほうが守備は強くなる。7人で守って3人で攻めるなら割りきって引く。より強固な守備にする手はある。

 フランス代表はネーションズカップでこの方式で解を見出した。ベンゼマ、エムバペ、アントワーヌ・グリーズマンの3人の攻撃力を残しつつ、いかに強力な相手に対して守備を構築するかで迷っていたが、5-2-3が最適解となって優勝した。

 これなら、パリ・サンジェルマンがより強固な守備で、MMNの自由を両立させられる可能性は高いだろう。

◆【図】2021-22シーズン 欧州トップ10クラブ最新フォーメーション

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