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冨安健洋のアーセナル「栄転」をボローニャサポーターはどう見たか。プレミアリーグで必要なこと (2ページ目)

  • パオロ・フォルコリン●文 text by Paolo Forcolin
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 しかしどのチームも、ボローニャの設定した強気の金額の前に、諦めて去っていった。ただひとつアーセナルをのぞいては――。移籍市場が閉まる数時間前、ボローニャとアーセナルの幹部は、互いが満足のいく合意に至った。2000万ユーロ(約26億円)をキャッシュで、冨安が定められた目標を達成した場合にはプラス300万ユーロ(約4億円)のボーナス。ボローニャは最後に多少の妥協はしたが、それでもチーム財政を安定させるには十分な金額を手に入れた。

 ボローニャのサポーターは彼の移籍をどのように見たのか。彼らの気持ちを一番的確に表す言葉は「甘受」だろう。彼らはしばらく前から、トミーがトルテッリーニ(ボローニャ名物のパスタ)を捨て、フィッシュ&チップスの国に行くことがわかっていた。だから移籍が決まっても、抗議の声をあげる者も、チームの決定に怒る者もいなかった。

 それに冨安の移籍は、自動的にもうひとり移籍の可能性のある選手の残留を意味した。リッカルド・オルソリーニ。24歳のサイドアタッカーだ。彼もまたボローニャサポーターが愛する選手で、ボローニャ幹部はサポーターに「彼らのうちのどちらかしか放出しない」と約束していた。オルソリーニの残留に安堵したサポーターも少なくなかったはずだ。

 トミーの移籍に不満なのは、誰をおいても監督のシニシャ・ミハイロヴィッチだろう。チームは冨安に代われる選手を用意してくれなかった。冨安の移籍は最終日に急遽決まったので、「優秀なDFを見つける時間はなかった」と幹部たちは言い訳しているが、冨安の移籍はサポーターでさえかなり以前から予見していたことだ。時間は十分にあったはずである。

 実際、右SBもCBもできた富安の抜けた穴は大きい。2022年の冬のマーケットでは、ボローニャは真っ先にDFの補充に動くだろう。とにかくそれまでは、どうにか今のままでやっていくしかない。ミハイロヴィッチの機嫌が悪いのも当たり前だ。

 かつてのユベントスの名DFセルジオ・ブリオは、明らかに栄転と言える今回の冨安の移籍について、こう語っている。

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