メッシ加入で年俸総額がエグいPSG。バルサ、レアル、マンUらと比べても高額で経営は大丈夫か (3ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

 そのシーズン、バルセロナの選手人件費総額は約3億3835万ユーロ(約439億円)で収入の約47%を占め、レアル・マドリードの選手人件費約3億6307万ユーロ(約471億円)は収入の約53%に相当。一方、7位のPSGは選手総人件費約2億3471万ユーロ(約305億円)で、収入に対する割合は43%だった。

 つまり、2019−2020シーズンの43%を基準にして考えた場合、選手の人件費に約3億8342万ユーロ(約498億円)をかける今シーズンのPSGは、総収入を2シーズン前の1.6倍に近い約1140億円まで急上昇させなければいけないことになる。さすがにこれは、非現実的と言っていいだろう。

 少なくとも今シーズンのPSGは、フランスのプロクラブの財務状況を監視する全国経営監査委員会(DNCG)から250〜300万ユーロ(約3億2000万円〜3億9000万円)の損失を見込まれるなど、財政的に厳しい状況にある。PSGのフロントは今夏のマーケットにおける選手売却費として約1億8000万ユーロ(約234億円)の収入を見込んでいるが、これまで実現したのはレバークーゼンにDFミッチェル・バッカーを売却して手にした700万ユーロ(約9億円)のみという、目標額には程遠い状況なのだ。

 現在、レオナルドSD(スポーツディレクター)は放出リストにある高額報酬選手の売却に躍起になっているが、リヨンへの移籍交渉が行なわれているDFレイヴァン・クルザワにしても、推定540万ユーロ(約7億円)という年俸がネックとなって、移籍は合意に至っていない。

 また、第3GKに降格したセルヒオ・リコやブンデスリーガ復帰がささやかれるティロ・ケーラーも、移籍交渉が実現するかどうかは移籍金のみならず、現在PSGが支払っている年俸を移籍先クラブがどこまでカバーできるかがポイントになる。当然、年俸が大幅ダウンするなら高額報酬をもらえて居心地もいいPSGにとどまったほうがいい、と考える選手もいるはずだ。

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