「頼むからゴールにいてくれと批判された」。FKも蹴ったチラベルトが語るGK像の変化 (4ページ目)

  • 栗田シメイ●文 text by Kurita Shimei

――あなたは親日家として知られ、自身の名前をつけられたU-12の大会「チラベルトカップ」も、今年5月で20回を迎えました。現在の日本サッカー、日本代表の現在地をどう見ていますか?

「私は1980年代に、南米や欧州の国に大差で負ける弱かった日本代表と戦ったこともある。そこから考えると、信じられないスピードで進化してきたね。2002年のW杯で日本のプレーを見た際も、勤勉で技術がある選手が増えていて驚いたことを覚えている。現役時代からやりとりがあったカワグチ(川口能活)とは関係が続いていて、今でも時々連絡を取っているし、日本サッカーの状況もチェックしているよ」

――逆に、課題はありますか?

「先ほど言った勤勉さや真面目さは、サッカーにおいては邪魔になる時もある。特に勝利している時の時間の使い方や試合の運び方は、少し"賢さ"が欠けている印象があるね。2018年のロシアW杯でもそういった部分が出てしまった。ただ、厳しいことも言ったが、発展の方向性は間違ってないと思うよ」

――自身の活動については、2023年のパラグアイ大統領選への出馬を考えているとも聞いています。政治の世界に身を置いたら、母国をどのように変えていきたいと考えていますか?

「自分が育ってきた国を、もっとよくしたい。それだけだよ。現在のパラグアイは失業率が高く、貧困問題も解決されずに、貧富の差は開く一方だ。それを改善していかないと多くの人の生活はよくならない。100パーセント確実というわけではないが、9割以上は大統領選に挑戦したいという気持ちになっているよ。

 選手として長くパラグアイ代表のキャプテンを務め、世界一になった経験がある。既成の概念を覆してGKの役割を変えたという自負もある。それらの経験を、政治の世界でも活かしていきたい。先ほど述べたように、極貧の環境で育ってきた私のような人間が大統領になることは、パラグアイにとっても、サッカー界にとっても深い意味を持つことになると思っているよ」

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